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翌日の早朝。
私は、五条君に付き合って寝ることはしなかった。おかげで少し眠いけれど、1日ぐらいなら何とかなる。
これを3日、五条君は術式を解かずにやっているんだ、どうってことない。
話を戻して、なぜ早朝なのかと言えば、今日に限っては時間が無いからである。
「おぉー!キレ〜」
「良い景色ですね」
ホテルの所有するビーチ。そこで全員が集まって朝焼けを見ていた。
昨日私が五条君の元を訪れたのは任務2日目、今日は3日目最終日。というわけで、そんなに時間もないからそれなら朝から海で遊ぶか、との結論に至ったのだ。
夏油君から星漿体の天内理子ちゃんとその使用人の黒井美里さんにお伝えしてもらって、今は5人でいるところ。
小さく欠伸をしながらよっこらせとしゃがんでみれば、ヤドカリを見つけた。興味本位で捕まえてみる。
「あ、引っ込んじゃった」
「何してんの、先輩」
「お、五条君。ヤドカリだよ〜、沖縄って感じだね」
「食うの?」
「食わんわ、やめてよ」
冗談交じりに話しながら五条君が隣に来てしゃがむ。「昨日も見た、これよりでけぇやつ」とヤドカリ自慢をしてきたので悔しい。
「いいの、このヤドカリ君は心の器がでかいので」
「ヤドカリの心の器って何」
「…地球環境問題に真剣に取り組む意欲とか?」
「まじかよ」
お互い眠気でまともなことを話していない。いや、多分今いきなり敵襲来ても全然戦う気力はあるけど、そのための体力やら精神的なものを温存している感じ。五条君はそんなことなくて、おそらく私だけだろうけど。
「…なんか、先輩は天内と気が合うからって言ってあっちに混ざると思ってた」
「ん?どういうこと?」
「んや、ほら今、波で遊んでんじゃん。一緒にやってそうなイメージだったから」
「あー、なるほど?私がヤドカリに興味を示したのが意外なのね」
「まぁそういうこと」
要するに、天内ちゃんと遊ばなくていいのか、という単純な疑問だろう。
先程はじめましての挨拶を済ませたけれど、確かにすぐ仲良くなれそうだった、が、そうはしなかった。
なぜなら、彼女の最期の思い出は私ではなく黒井さんであるべきだとおもったから。
「私は完全に部外者だからね。まだヤドカリ君の方が接しやすいの」
「気ぃ遣ったってことね。だから傑もあそこで1人座ってんのか」
「だと思うよ」
一丁前に、君は誰か誰に気を遣ってるのか分かるようになったのか。夏油君の教育の賜物だ。
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作者(プロフ) - みぃさん» コメいただいていたのに気づかなくてすみません💦ありがとうございます!頑張ります! (11月12日 17時) (レス) id: 989ab1f730 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初コメ失礼します!このシリーズの作品がすごい好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (11月6日 14時) (レス) id: 01aa01ae14 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 皐月さん» ありがとうございます🥰更新頑張ります! (10月9日 22時) (レス) id: 989ab1f730 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!これからも応援しています (10月9日 18時) (レス) @page4 id: 8f5e3bc927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2023年10月9日 14時