階級・甲の癸さん拾陸

725話　鬼舞辻side ページ31

鬼舞辻「未来が見える？」



唐突にそう言った春姫に、首を傾げながら問い掛ける。



春姫「未来が見えると言ってもたまにですけどね、あと普通とは違う何かが使える？

まあ基本的に何かを使ったりはしませんけど、そうみたいです？」



自分でも何か分からないのか、首を捻りながら考えている。



春姫「無惨さんの役に立つ力だと良いんですけどね〜。」



鬼舞辻「…私は別に、誰かの力など借りずとも平気だ。」



春姫「私が勝手に無惨さんの力になりたいだけですから。」



…本当に…言うこと成すこと可愛すぎる。



鬼舞辻「私は、春姫が傍に居てくれるのならそれでいい。」



そう言うと、一瞬固まった後笑顔を見せながら抱き着いてくる。



春姫「…私も何もなくて良いから、無惨さんの傍に居たいです。」



…こうまで人間でありたかったと思ったことなんてない。



同じように生き、同じように死ぬことが出来たら…どれだけ良かったか。



鬼舞辻「鬼になれば良いものを。」



春姫「やーですー。」



鬼になることだけは頑なに断る春姫。



…人間の寿命は短い…だからこそ、春姫は私より先に死んでしまう。



私は…春姫だけは、失いたくないというのに。



鬼舞辻「…そうか。」



それでも尚春姫の意見を尊重したい。



…私にとっての春姫は…誰よりも、何よりも…大切な存在だから。



春姫「…死ぬまでずっと、傍に居ますから。」



鬼舞辻「…ああ。」

726話　鬼舞辻side→←724話　鬼舞辻side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す