階級・甲の癸さん拾陸

726話　鬼舞辻side ページ32

鬼舞辻「そうか、友人が出来たのか。」



春姫「はい！」



髪や目を隠し、時に一人で街へと行くようになった春姫には、どうやら友人が出来たらしい。



それが嬉しいのか、屋敷に居る時もその話をすることが多くなった。



…友人が女らしいからまだ良いとして、男だったら…とは考えてしまう。



春姫の交友関係にまで口を出す必要性はないが…何せ春姫はとても可愛らしい。



好意を寄せる男が現れても何らおかしな話ではない。



鬼舞辻「良かったな。」



春姫「はい！…えと…それで…。」



少し困ったような、申し訳ないような…照れたような…そんな顔で私を見る。



鬼舞辻「…何だ？」



春姫「…名字聞かれて…ないからどうしよう、ってなって…無惨さんの名字答えちゃって…。」



鬼舞辻「何だそんなことか、別に良い。」



春姫「随分と適当な…！？」



適当と取られたか、そう言う意味ではなかったが…ハッキリ言ってやらないと分からないらしい。



鬼舞辻「春姫が私と同じ名字であるのは何らおかしな話ではないだろう。

遠くない内に実際にそうなると言うのに。」



そう言うと、少し考えた後に意味が分かったのか、顔を赤くした。



春姫「無惨さんそういうとこ…ほんとそういうとこですから…。」



鬼舞辻「何がだ。」



春姫「分かってて聞いてますよね？」



…恥ずかしがる春姫が、とても可愛らしくて。



早く、今にでも…



鬼舞辻「…焦るのはよくないな。」



春姫「？」



鬼舞辻「何でもない。」



…他の奴に見られたくない、なんて…私らしくもない。

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