階級・甲の癸さん拾伍

690話　雪希side ページ46

『…帆兄ね、あなたが自分を見つけられないでいる時心配してたよ。

一日に何回かあなたの名前を出してた…彼、素直じゃないから言えなかったけど。

空の学校にいる人みんな…帆兄にとっては大切だったの。』



…ああ、馬鹿だ、私は馬鹿だ。



Aさんも、桜花ちゃんも、帆さんも…みんなみんな、優しすぎるくらいに優しいじゃないか。



私が歪んでしまっただけ…それなのに、全て目を逸らして人のせいにして…。



雪希「…本当はずっと後悔してた、あなた達を傷付けてしまったこと…殺してしまったこと。

許されることはもうないけど…それでもっ…」



静かに、Aさんの目を見る。



雪希「…ごめんなさい、出会ってくれて…ありがとう。」



『…僕の方こそ、ごめんなさい…ありがとう。』



…色んな鬼の気持ちが分かるなぁ。



殺されるのなら…この人が良いって思うよね。



雪希「…ねぇ、もしも…生まれ変わることが出来たら…その時は、友達に…なれるかな？」



『あはは、僕無神論者なんだけど。』



雪希「最後にそれは酷いよ。」



お互い笑う。



『…でも、あなたに再会するために…信じるのも、良いかもしれないね。』



雪希「…優しいね、Aさん。」



『そんなことないよ、最低だよ。』



…ううん。



Aさんは…いつだって、優しいよ。



私はそんなあなたに…ずっとずっと、憧れていたんだ。



『…おやすみなさい、雪希さん。』



…ちゃんと償うから…次こそは、ちゃんと友達になろうね。

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