階級・甲の癸さん拾伍

669話　雪希side ページ25

雪希「…ねぇ、知ってる？」



…してはいけないことは知ってた、なのに私は…いつも仲良くしてくれる人達に、言ってしまっていた。



雪希「Aさんが空の学校に来ている理由。」



人気者のAさんだったから、すぐにみんな食いついて来た。



雪希「兄弟を殺したからなんだって。」



「え、どういうこと？」



雪希「崖から突き落としたんだって！

それを他の人が見てなかったからなかったことにして…逃げて来てるんだって、私聞いちゃった…！」



ありもしない、そんなこと。



Aさんがそんなことするわけないじゃないか。



「え、何それ…怖…」



それでも案外人は、根拠のない噂を信じるもので。



雪希「怖いよね…余り近付かないようにした方が良いかも…」



「そうする…」



「残念、Aちゃん結構好きだったのに。」



「でもさぁ、特に可愛いわけでもないのによく彼処まで人気あるなとは思ってた。」



「あ、それは分かる！！」



…何を言っているのかな、Aさんはとても可愛いよ。



でも、そんなこと言えない。



雪希「とにかく、近付かないようにしないとね。」



憧れている、執着している…そんな大好きなAさん。



「うん、教えてくれてありがとう！」



雪希「全然良いよ！」



そんなAさんを汚したのは私だ。



傷付くようなことを言ったのは私だ。



…もう、戻れない。



雪希「…そのくらい、分かってる。」

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