階級・甲の癸さん拾伍

663話　雪希side ページ19

羨ましかった。



みんなの中心で笑っているあの子が。



いつでもみんなに好かれ、愛され、中心に居るあの子が。



私は、そんなあの子のようになりたかった。



だから、あの子が最初していた下結びツインテールをしていて。



あの子がしているようにずっと笑顔を作る。



それでも、中心はいつでもあの子だった。



…羨ましい。



私もああなりたい。



雪希「ねぇねぇ！今から喫茶店行くんだけど、一緒に行かない？」



「ごめん、俺今からA達の遊ぶから。」



…羨ましい。



みんなの中心に居られて、愛されているあなたが。



どうすれば近づけるかな。



あ、そうだ。



雪希「癸さん！」



『…はい？』



雪希「私も一緒に遊んでもいいですか…！」



…癸Aさん。



一つ年上の女性で、長めの前髪で右目を隠している、私からすればミステリアスな人。



それでいて、私が最近来るようになった「空の学校」の人気者。



癸さん自体も最近来たばかりらしいけど、そんなのを感じさせないくらいみんなと仲が良くて…本当に人気者、って感じの人。



…私の、憧れの人。



『もちろん。みんなで遊ぼうか。』



そう言って笑う癸さん。



正直に言って、顔はそんなに…特別可愛いとかではなくて。



それなのに、今崩して笑ったような癸さんは…とても可愛く見えた。



…これが、愛される理由の一つなんだな…って言うのが、その時によく分かった。

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