78話 Noside ページ32
シュッ
そんな音の直後、騒がしかった辺りは一瞬にして静まり返った。
その沈黙の中心に居たのは、特に目立った様子もないような一人の生徒だった。
最近になり監督生や、監督生の周囲に声を掛けられるようになったばかりであり、それまでは決して目立つような存在ではなかったファルと言う名の生徒。
テストでも大体が真ん中辺りに居るはずのファルが、何故其処まで監督生等に気に入られているのか…分からずに居る生徒も決して少なくはなかった。
そんな、“平々凡々”なはずのファルが、手癖が悪く人から物を気付かれずに盗むのが上手いはずの、ハイエナの獣人に向かい…普通とは形状の異なったマジカルペンを突き付けている。
それも…寸分狂わず、首元に。
ラギー「…ど、どうしたんスか？ファルくん…突然、こんな…」
ハイエナの獣人、ラギー・ブッチがそう問い掛ける。
するとファルは、ピクっと一瞬だけ眉を動かしたあと静かに口を開く。
『突然どうした、は此方の台詞ですが？…今、何を盗もうとしました？』
ラギー「…え？」
『まさか、僕が気付かないとでもお思いで？』
そんなまさか。
その場に居た殆どの生徒がそう思った。
無論それは盗もうとした張本人であるラギーも。
基本誰からも盗んで来たはずなのだ、それなのに…特に何かが特別優れたわけでもないはずのファルが…何故それに気が付いたのか。
『ねぇ、ブッチさん』
ラギー「…何、スか」
『ご忠告しておきますね』
其処まで言ったファルは、やっとのことでラギーの首元からマジカルペンを離す。
そして、静かに…それでいて冷たく、言い放った。
『相手は選んだ方が良いですよ、何故僕を狙ったかは分かりませんが………次同じことをしてみろ、今度は迷わず頸を刎ねる』
聞いたこともないほどの冷たい声に、周りに居た生徒までもが息を呑んだ。
それだけ言うと先へと歩いて行ってしまうファル。
其処に残ったファルと歩んでいたはずの転入生、ヴェレーノ・インセットは、ラギーへと向かい微笑みかけながら言う。
ヴェレーノ「ファルは突然何かをされると、“ついつい”頸を狙ってしまう癖があるんです。昔の癖と言うものでしょうか？」
ラギー「…癖で首狙うなんて、あるんスか」
ヴェレーノ「ええ。だから、ファルの言う通り…ちゃんと相手は選びましょうね」
それだけ言いファルの元へと歩き出すヴェレーノを見た生徒達は思った。
あの二人は敵に回してはいけない、と。
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ゆるる(プロフ) - こんばんは、お答えしていただきありがとうございます！単行本派故にご迷惑おかけしてすみません…。把握致しました。本誌枠を読み終わり次第再びこの素敵な作品に是非立ち寄らせて頂きたいので残しておいて頂けますと幸いです！これからも応援しております！ (2020年6月17日 23時) (
レス) id: 8e2c0af2a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきな(プロフ) - 「…なぁに言ってるのぉ？俺ジェイドじゃなくてフロイドだよぉ〜」()「何故分かったのです？目の色を変えて髪も逆にしてアズールも見分けられなかったのに」ってなりそう←。ガチフロイドやったら絞められてるはず… (2020年6月17日 22時) (レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
クローバー(プロフ) - 虹希さん» まさか作者様のお気に入りだったとは…！好みが似てるんですね！応援してます！！ (2020年6月17日 20時) (レス) id: 7ea079127e (このIDを非表示/違反報告)
虹希(プロフ) - クローバーさん» コメントありがとうございます！わああありがとうございます！ネーロ個人的にお気に入りなのでそう言っていただけると嬉しいです！！ありがとうございます〜頑張ります！！ (2020年6月17日 20時) (レス) id: d8253c3587 (このIDを非表示/違反報告)
クローバー(プロフ) - ネーロに惚れました。なんですか！？なんであんなにカッコイイんですか！？私の好みどストライクですよ！！これからも更新頑張ってくださいね！！ (2020年6月17日 18時) (レス) id: 7ea079127e (このIDを非表示/違反報告)
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