雨柱の癸さん肆

167話 ページ30

鬼舞辻「出掛けるぞ」



『僕に拒否権はなし？？？』



…と、まあ…そう言った(どう言った？)感じで、無理矢理外へと連れて行かれている僕。



甘味処にてお茶をしているのだが、これはまあいつも通り…一緒に居るのが、鬼舞辻さんでさえなければだが。



遥大「お、A。久しぶりだな」



『遥大さん！お久しぶりです、相変わらず此処の甘味美味しいですね！』



遥大「俺が作ってるからな〜、なんて」



色々と吹っ切れたのか、前より少し明るくなった様子の遥大さん。



しのぶもたまに遥大さんの話を出していて、此処にもよく来るのだとか。



でも、遥大さんはまだ蝶屋敷には来ていない…どうやら、色々と忙しいらしい。



鬼舞辻「おい、誰だ」



『此処で甘味を作ってくださっている方ですよ』



遥大「初めまして？」



遥大さんが笑いかけると、鬼舞辻さんは少し黙り込んで甘味を見つめたあと言った。



鬼舞辻「まだまだだな、もっと精進しろ」



『何様だ。普通に美味しいって言ったらどうです』



遥大「今のはそう言うことなのか？」



『多分そうだと思いますよ！』



鬼舞辻「妙なデマを流すな」



『デマじゃないでしょ、あなた素直に人を褒められないんだから…』



全く、困った人(鬼)だ。



そう思いながら溜息を吐けば、くすくすと控えめに笑ってくる遥大さん。



笑い方が綺麗だな、なんて思う。



遥大「そっか、でもそれなら良かった」



遥大さん、笑うようになったなぁ…前より。



カナエさんのこととかあったから、自分を閉じ込めちゃってたんだろうな。



本当に良かった。

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