雨柱の癸さん弐

52話 ページ13

「お前良い服着てたからな、誘拐して手紙でも送りゃあ金が手に入るって思ったんだよ。」



『この時代にもお金目的の誘拐ってあったんだ…。』



「は？」



テレビドラマでよく見るような誘拐だったものだから、ついそんなことを言ってしまう。



『いや、貴方はお金が足りない人なんですか？』



「そうじゃねぇよ、楽して生きてぇからだよ。」



『…あーあ。』



多分僕の今の目は、目の前に居るこの男の人を哀れんでいると思う。



…いやぁ、狙う相手間違えちゃったねぇ。



「何だよその目は、何か考えでもあんのか。」



『ちなみにその手紙は送っちゃいました？』



「お前の居た所に俺の仲間が置いてきているはずだが？」



『…可哀想に。』



思わず僕がそう言うと、不快だったのか胸倉を掴んでくる。



「何が可哀想なんだよ、言ってみろ！！」



『…僕の仲間に居る人達を説明してあげましょうか。』



「あ！？」



『まず第一に、僕にかなり過保護な人…めちゃくちゃ強いです、無表情無心状態で僕に危害加えようとする人とかぶっ倒しちゃう感じです。』



「何言ってんだよお前は！！」



『次に、妹のように思っている人…笑顔で毒吐くだけならまだしも、笑顔で普通じゃない薬使ってきます、最近僕に危害加えようとした人が被害者になりました。』



其処まで言うと、やっとのことで少し顔色を変える。



それでもまだ怯む様子のない彼に向かって、もう少し捲し立てることにする。

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