階級・甲の癸さん

プロローグ ページ1

グチャ…グチャ…



そんな咀嚼音。



目の前に横たわっているのは、最早原型を留めていない人達。



何故この人達は喰われているのか。



一体何が起こっているのか。









『………はっ？』



どうもみなさまこんばんわ、みなさまが今どうかは知りませんが僕は現在夜を過ごしております。



どうやら今日は満月らしく、家が決壊した僕から見ると月が綺麗で目が奪われ……



るはずもないわけですよ、目の前で人が食べられてますから？



実は僕、今日何故かいきなり知らない所へと放り出され(？)まして、どーしよっかなーと思っていた所を優しい老夫婦に拾われたわけですね。



そうしたらその夜眠っていたら凄い声や音がして、目を覚ましたら老夫婦が異形の何かに喰われていたわけですよ。



まあそりゃあ頭抱えるしかなくなるわけで、今僕はどうすれば良いかも分からなくなってます。



「ひひっ…あとはお前だぁ…」



何だか気持ちの悪い笑い方をしたそいつは僕に掛かってきて…



咄嗟にその僕の首を掻っ切ろうとしたであろう手を避ければ、その手は目に当たって右目から血が溢れ出る感覚がしてくる。



あー、此処多分ヤバイ世界だ、前の世界であんな死に方してそれでトリップした(？)世界でこんな死に方するとか…



『不幸だ。』



その一言に尽きるよね。



もう無理だ、逃げることも出来ない、諦めよう…そう思って覚悟を決めたその時、



「ぐあっ」



『ひえっ』



鬼はそんな声を残し、頸が飛んで行った。









拝啓、母様。



僕はどうしてこんな目に遭っているのでしょうか。



『…教えてくれよ…ほんと…』









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