38話◇ 原田side ページ40
「天馬さん!」
『何ですか?』
…今日の昼食は、いつにも増して静かだ。
何せ平助と新八が静かだから。
静かになるのも仕方がない…あの二人が、ずっと話しているから。
…天馬が誰かと話しているなんて、まずあることじゃない。
総司も…斎藤も、驚いたように二人を見ている。
「天馬さんは甘いものお好きなんですか?」
『甘味は好きですね、好物です。』
「じゃあ、動物は?子どもは?」
『動物も子どもも好きですよ。』
「じゃあじゃあ!」
『尽きませんね、本当。』
「だって天馬さんのこと何も知らないんだもん!」
…いや、俺達もそんなこと知らなかった。
甘いものと動物と子どもが好き…そんなの初耳だ。
『では僕からも。』
人に関心のなさそうな天馬のその言葉に、思わず口に含んでいたおかずを噛まずに飲み込んでしまう。
…あの天馬が?
『ご兄弟とかは?』
「妹と弟が居ます!」
『仲は?』
「とても良かったです!二人が私の自慢なので!」
『そうですか、良かったですね。』
…天馬が、少し緩んだ表情をしている。
見たこともない表情を、あの嬢ちゃんに向けている。
『甘いものは?動物は?子どもは?』
「同じ質問!?全部大好きですよ!」
『同じじゃないですか。』
…あの嬢ちゃんは一体何者だよ…天馬にあんな顔させられるなんて…
「同じですねっ!」
『ふ、はい。』
只者じゃねぇよな。
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