彼女がモブを通す理由４

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『っ…』



…ずっと見ていなかった夢を、久しぶりに見て。



汗が噴き出しているのに気が付く。



『…僕は、何を、』



…そうだ、昨日サイズ合わせのために涼太のサイズ測って…それから…



『…裁縫の最中に寝たのか…』



普通に危ないじゃん、針とか目にぶっ刺しそう。



そう思いながら針を探すと、針はちゃんとしまわれていて…それだけじゃない、僕には毛布がかけられていた。



涼太だって気付いたのはすぐだったんだけど…僕がこの時期も寒いって言ってることとか、よく分かってるんだなって思った。



『…涼太が僕に…かなり過保護なのは…“あのこと”があったから…尚更、なんだよね…？』



そう考えるとまた頭を抱えそうだ。



その時、LINEの通知が溜まっていることに気が付く。



『…人が悩んでるってときに、あなた達はお気楽ですね。』



また毎日同じように繰り返される馬鹿な会話。



それを一通り見て、返すことなくスマホを閉じる。



…だって、考えたくない事を考えてしまっているの。



だから、今、この瞬間だけは…どうか…



『…全てを、忘れさせて…。』



…これが逃げなのは、僕が一番分かっているから。



『………美晴………』

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