階級・甲の癸さん拾肆

640話 ページ40

「三つ目…禁じ手…この二つは、あなたの精神を壊すから使わないで欲しい。

精神の強い人にしか使えなくて…だからこそあなたなら使えるとは思う。

でも…余り使わないでほしいなぁ…威力は強いし、取り戻すものも大きいけど…。」



『…？』



「死の呼吸、陸ノ型・天界道…生の呼吸、陸ノ型・命の灯(いのちのともしび)。

天界道は人だけでなく鬼をも超越する力を手に入れる代わりに、その人の一番辛い過去を呼び起こさせ…それを改悪させた夢を見せることもある。

それだけでなく…体力もかなり使うから、身体自体を壊してしまうかもしれない。

命の灯は…失くした命を取り戻すことの出来る技…今まで自分の失った命を感じさせ、…簡単に言えば、その時に使えなかった自分のことを恨む…。

…大切な人達を失った瞬間を、夢に見させるから。

それに…もしかしたら、そのまま精神世界から戻って来れなくなり…あなたを苦しめ続けるかもしれない…そのまま殺してしまうかもしれない。

…そんなの、使ってなんて言えないから…。」



…そっか、そんなに…



『…他の技があれば大丈夫、使ったりしないから…そんな顔しないで。』



「…四つ目、最終奥義…死の呼吸と生の呼吸を掛け合わせた技。

…等価交換で使えて…あなたは、自分の一番大切なものを失う。」



『…一番大切なもの…？』



「…そう。だから使わないで。」



そう言ったその人は、優しく僕の手を取った。



「名前は…＿＿＿＿。」



『…＿＿＿＿…』

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