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その日、米屋陽介は己の人生史上最高に焦燥した。
「おいおい、俺にスリル味あわせてどうすんだよ…！」
米屋も長らくボーダーに勤めているが、こんな光景は初めて見ただろう。
それは誰もが認める強者が、生身で一撃を喰らっているという信じ難いものだった。
これは不幸の重なり合いによって起こった悲劇である。
Aはすっかり失念していたのだ。
旋空無月は旋空弧月に比べ、大量にトリオンを消費することを。
弓場との勝負の場は訓練室。
トリオン切れなど起こり得なかった。
その為、彼女はどのくらい旋空無月によりトリオンを消費させていたのか把握出来ていなかったのだ。
恐らく開発した迅も予想外だっただろう。
そしてこのトリガーは試作品で、ベイルアウトが機能しなかったこと。
備え付けられている筈のベイルアウトは作用せずに、誤爆してしまい彼女の体が転送されることは無かった。
これも迅は予想外だっただろう。
その二つが重なった結果彼女が旋空無月を使用した途端、トリオン体を保てなくなり生身が無理矢理引き戻されてしまったのだ。
「A……！！」
米屋はAが荒々しく削ったモールモッドを突いてトドメを刺した。
だが問題はそこではない。
「しゅう、秀次！」
『陽介？泣いてるのか？』
「Aがっ、生身で、攻撃を受けた！」
迅は身震いした。
昨日告げた通りに玉狛支部から防衛任務に向かったAとすれ違った瞬間、不穏な未来を読み取った。
一体何がその引き金となってしまったのか思考を巡らせた。
だがいかんせん行先の未来の選択肢が多過ぎる。
類稀なる多量の分岐点と結果に迅はどうするべきか悩んでいた。
「不味いなぁ……どれが最善だ」
迅が贈ったトリガーは以前から見えていた最悪な未来からかなり遠ざけてくれた。玉狛に引き抜いたのも間違いなく正解だがそのトリガーが更にまた、たくさんの危険因子を呼ぶ事にもなってしまった。
「……頼むぜ米屋」
迅は藁にも縋る思いで先を急いだのだ。
現着した時、既に未来は迎えられた直後だった。そのため幸いにもまだAは助かる状況にあった。
だが迅がほんの一瞬遅れを取ってしまった故に、彼女は生と死の狭間を彷徨っているのは事実だった。
「迅、さん……！」
警戒区域に人がいないとはいえ、脇目も振らず泣き顔を晒す米屋を見て不覚にも迅はギョッとしてしまった。
「大丈夫だ、まだ間に合う。米屋、手を貸せ」
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御霊アイス(プロフ) - Aoooooooさん» お褒めのお言葉ありがとうございます！一番好きだなんて、とても光栄でございます。まだまだ精進いたします。お身体に気を付けて、これからもお楽しみ頂けると幸いです。 (2021年2月2日 21時) (
レス) id: 479222f424 (このIDを非表示/違反報告)
Aooooooo(プロフ) - はじめまして。深夜帯にすみません。ここ最近の作品の中で1番好きな作品で、更新される度ワクワクして読ませていただいております。これからも応援してます！ (2021年2月2日 3時) (レス) id: 1ff117f59a (このIDを非表示/違反報告)
御霊アイス(プロフ) - 舞都李さん» ありがとうございます、お褒めのお言葉はとても励みになります！割と見切り発車で始めた作品なのですが、お気に召したようで何よりです。これからも精進致します。舞都李様もお身体にお気を付けください。 (2021年1月28日 22時) (レス) id: 479222f424 (このIDを非表示/違反報告)
舞都李 - 好きです…！二宮さんが最推しなので結婚しようで泣きました()更新頑張ってください、応援してます！ (2021年1月27日 9時) (レス) id: 26fd9ad117 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：御霊アイス | 作成日時：2021年1月20日 0時
