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「ねえ、諒」
横になっているAが俺に話しかける。
「何だよ」
「…諒のこと、ずっと好きだったのかも。
ずっとずっと」
「おう、そうか」
俺は平静を装って話を聞いた。
「…だから、諒と付き合うのは違うと思ってた。
…付き合うってことは、別れるか結婚するかしか未来は無いでしょう?
…諒とは別れたくなかったから
だから一瞬でも好きって思わないようにしてたの」
「そうか」
「だけど、今私に残されてる選択肢は別れしかないわけじゃない?
…だから、もっともっと先に好きって伝えればよかった」
彼女が言いたいのはきっと
きっと
“俺のことがずっと前から好きだった”
だけど
“俺とは付き合えない”
ってこと。
だから彼女は俺と悪友でいることを選んだ。
そんなこと、わかってたはずなのに
いざ口にされると胸が苦しくなった。
「…さ、海行こうか」
彼女は起き上がり着替えを持ってトイレに向かう。
「ほら、諒も早く準備して?
人増えたら2人で歩けなくなるんだから」
「おう」
バタンと閉まった扉を見つめていると
少しだけ悲しくなったけれど
そんなこと思っていても時間の無駄な気がして
俺は外に出られる格好に着替えた。
彼女がいれば
どんな付き合い方でも
隣に彼女がいれば、それで良いと思った。
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鈴木佳花 - 最後めっちゃ泣いちゃった (2019年2月1日 19時) (レス) id: 8c51f3c097 (このIDを非表示/違反報告)
リサル - 君を忘れたいを聴きながら、読んでいたので、なんだか、曲とあっていて、倍泣いてしまいました。とってもいい作品です! (2018年11月25日 17時) (レス) id: 0d0f76e2d7 (このIDを非表示/違反報告)
るる - なんか、「君の膵臓を食べたい」に似てる気がする。 (2018年8月5日 15時) (レス) id: 5f41b25908 (このIDを非表示/違反報告)
ゆあゆあ - めっちゃ泣いてしまいました~!いい作品! (2018年6月22日 19時) (レス) id: d4e608e91e (このIDを非表示/違反報告)
ういろううり(プロフ) - 話がすごく良すぎて泣いてしまいました。すごくいい話! (2018年5月31日 23時) (レス) id: 5156ec9647 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すば∞なな | 作成日時:2017年6月25日 22時