犬猿の仲【Fischer's】

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「ライバルの最期の惨めな姿見れるなんて最高じゃない？」








明るく言う彼女に段々と腹が立ってきた。








「…誰が人の死に際に最高って思うんだよ。








俺は確かにお前のこと好きになったりしねえけど








お前のことはずっとすげえなって認めて尊敬してきたつもりだぞ。







なんか今のお前、嫌いだわ」







俺がそうキツく言っても彼女は







「嫌いかー、最高だね、その言葉」







と煽ってくるかのように笑った。








「…俺は真剣に考えてるんだから、お前も真剣になれよ」








つい口調が強くなってしまう。








「…私も真剣だよ」








さっきまで笑っていた彼女の目に一筋の涙が。








「…私、本気で諒と人生の最期を過ごしたいって思ったから







彼氏とも別れた。








私だって、死ぬのは怖くない訳じゃないよ。








でも覚悟したの。








ちゃんと一年生きようって。








だからこうして今諒と話してる」








彼女があまりにも真剣に言うから








俺は折れた。








「…なら付き合ってやってもいい」








そう言うと彼女はまた満面の笑みを浮かべて







「そうこなくっちゃ」







と俺の手を握った。








「諒、絶対私のこと好きにならないでね。








私も絶対好きにならないから








約束」









「お前は自信過剰かよ。わかった」









「今日から私と君はカップルだね」








「恋愛感情抱いてねえのにカップルで良いのかよ」







「んー、確かに







じゃあ、こうしよう。







私達は悪友」







「悪くねえな」








「でしょ？やっぱり私言葉のセンスあるねえ」








「そうゆうとこ俺嫌いだわ」








「おー、直球だけどそんな感じで一年間付き合ってくれたら嬉しい」








「ドMか、お前は」







「目覚めちゃうかもね」








どこまでも明るく振る舞うこいつが死ぬ訳ないって








この時の俺は思い込んでいた。

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