23 ページ23
・
「お疲れ」
「諒こそお疲れ様。編集頑張ってね」
電車を降りた後私達は各々の家へ帰った。
今私は編集前の彼と電話をしている。
「ありがとな、今日は」
「カメラマンとして何点だった?」
「68点だな」
「辛口だなあ」
「さ、そろそろ編集すっからこの辺でな」
「うん、おやすみなさい」
「おやすみ」
電話を切るのは私からと決めている。
切れた時の音を聞くのは寂しいから。
電話を切り、今日1日の事を考えながらお風呂に浸かる。
YouTubeに動画を出すのも簡単なことではないんだなと感じた一日。
外で他のカップルを見て羨ましくなった一日。
諒のさりげない優しさにますます好きになった一日だった。
砂浜ではしゃぐカップルの姿は
人前で安易に近付くことすら許されない私達にとって
少し羨ましくもあった。
諒が有名になる前に色んなことをしておくべきだったと
今になって後悔している。
そして私が今一番実感していることがある。
それは、
諒の彼女としていられる期間が一日、一時間、一分、一秒と減っているということ。
別れたくないけれど
彼がもっともっと有名になるには
彼が夢を叶えていくためには
きっと私は邪魔になる瞬間が来ると覚悟している。
カメラマンを引き受けたのは
少しでも必要とされていたかったからでもある。
少しでも近くに居たいから。
まだ近くで笑顔を見ていたいから。
直接お疲れ様って言いたいから。
色々と覚悟はしているつもりだけれど
諒のことを思い出すと好きが溢れてきて
電車で握られた左手を眺め
少し泣いてしまうんだ。
466人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花梨 - 楽しみにしてます!! (2018年11月6日 18時) (レス) id: e6157cc2f4 (このIDを非表示/違反報告)
橘雫(プロフ) - 花梨さん» ありがとうございます!色々と修正してもっとキュンキュンして頂けるような小説にしていきますので、お楽しみに! (2018年10月6日 22時) (レス) id: 1c9cad39f6 (このIDを非表示/違反報告)
花梨 - 最高すぎです!文才が神すぎです。終始きゅんきゅんでした。こういう感じのガンガン書いてください!めっちゃよみます!フィッシャーズ最高!!! (2018年10月2日 21時) (レス) id: e4eb9fe5a5 (このIDを非表示/違反報告)
橘雫(プロフ) - 書き直しを始めました。急ピッチで進めているため、誤字等あるかもしれません。その場合はご指定いただけると嬉しいです。 (2018年9月25日 15時) (レス) id: 1c9cad39f6 (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - すごいですね!最初からこういうのにしようって考えてたんですね!?素晴らしい!! (2018年1月1日 22時) (レス) id: 2870e13e2c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:橘雫 | 作成日時:2017年4月17日 19時