封印された一般人【呪術廻戦】

一般人と動機 ページ47

あの日から、少しづつ私の何かが変化しているような気がしている。自分の体なのに、自分の身体では無いかのようなちぐはぐな感覚。何を言っているのか分からないかと思うが、私にも分からない


同じように体内に呪いを宿している者同士、話が合うかと思いこうして今虎杖くんと教室で駄弁っている訳だが……。お互い呪いについてくわしいわけでもないので、なんの収穫も得られない。


「まぁ、俺の場合Aさんみたく宿儺単体を外に出せる訳でもないしなぁ。受肉って形で、一心同体みたいなもんだし？」
『なんか違う気もするけど、そうなのかなぁ。でも最近、餓鬼が単体で私の体から出ていくことないんだよね、話しかけても返事すらしないし』
「うーん、俺の場合だと宿儺が寝てるか、機嫌悪いかのどっちかだな！あんまり俺から話しかける事も無いんだけどさ」



八方塞がりとはこの事か。そういえば虎杖くんは元一般人、同じように戻りたいとか思ったことは無いのだろうか。私は今でも戻れるなら戻りたいが、前みたく固執する事は少なくなった気がする。



「んー、俺は呪術師にさせられたってよりなるって決めたからな〜。自分の意思でここに来たわけだし、別に戻りたいとかは思わないかも」
『へぇ、命の危険に晒されるのに？』
「クサイこと言うけどさ、俺がした行動で誰かが救われるならそれは呪術師としていい事なんじゃないかなって思うんよ」

『…クサイね。見て、鳥肌』



恥ずかしいじゃん！と顔を覆う虎杖くんは、到底血生臭い呪術師という境遇にいるとは思えない。やっぱり根本的に違う人間だからか、共感出来るところが少なすぎる。

今日も餓鬼は黙っているし、空腹は収まることを知らない。今は少し慣れてそれなりに空腹から意識を逸らすことが出来ているが、気を抜こうものなら極度の空腹と暴食衝動に駆られてしまうからたまったもんじゃない。

体はこれ以上受け付けられないと言うほど食べても、胃袋が、脳が満足していない感覚は一度誰かに味わって欲しいものだ。耐え難い不快感には、思わず顔が歪む


「俺さ、呪術師なる前にじいちゃんに言われたんだ。人を助けろって、だから呪術師になる決意ができたんだよ」
『へぇ、優しいね』
「Aさんは、そういう決意とか無かったん？」



あるわけないだろう。こちとら半ば誘拐という形で蔵に閉じ込められて、出られたかと思えば黒ずくめの怪しい目隠し野郎に連れ去られたんだぞ。

恨み言を吐くかのように答えると、「それは決意もなんも出来ねぇわ」とカラカラと笑われる。一般人に対してひどい仕打ちだったと、改めて感じる

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