封印された一般人【呪術廻戦】

一般人と願書提出 ページ41

_

虎杖くんと感動的な再会を果たした翌日、私は夜蛾学長と五条先生と三者面談もどきをしていた。
進路なんてものは呪術師には無いに等しいのだが、私は私の要望でこの場を設けてもらった。


「話はなんだ」
『端的に言えば、呪術師を辞めたいです。あと高専も』
「ま、言うと思ってたよ」


革張りのソファーに深く腰をかけながらわざとらしく肩を竦めているのは、五条先生。私を高専に連れてきた張本人。変わらない飄々とした態度に腹が立つが、今は冷静にならないと。なんだかんだ口が上手いので会話の主導権を握られては行けない。


こんなことを考えるなんて授業で少しやったディベートを思い出す。あの時はしょうもない議題だったが、今は私の人生がかかっている大事な場面。失敗は許されない。


『色々調べて意思表示として辞表も持ってきました
』
「…成程。意思は硬いようだな」
『そりゃ命の危険のあるバイト先なんていやですから…』
「…Aはさ、高専に入る時に言われた言葉覚えてない？」



ここに入る時に言われた言葉…？そんな過去のこといちいち覚えていないし、あの時はトントン拍子で進む出来事に追いつくことで精一杯だった。素直に首を横に振ると、五条先生の口元がニッと三日月型に歪む。

顔の全貌は見えていないが、してやったりとでも言わんばかりの顔つきに思わず表情が引き攣る。
五条先生がこういう表情をする時はろくな事がない。初任務の時に廃ビルに入らされる前と同じ顔をしている


「Aはね、保護対象なんだよ。餓鬼に取り憑かれ…あぁ、受肉されてるからさ」
『じゃあ餓鬼だけ祓ってくださいよ、そしたら晴れて自由の身ですよね』
「残念だが、そう簡単な話では無い。受肉されている以上、依代…基その体の持ち主事処理するのが一般的だ」
『詰みって事っすか…』
「ま、もう少し早くコレ出しとけば対処のしようはあっただろうね」


ピラピラと私が丹精込めて書いた辞表を振りながらケラケラと笑っている。中身もしっかりと書いたんだから褒めて欲しいくらいだ、教えてくれた七海さんには感謝しかない。
七海さんも辞表を出したことがあるらしく何故か背中を押して貰えた。



「そんなに辞めたいなら、安全な場所で保護することもできるけど。どうする？」
「完全に保護するとなると、自由はないと言っても過言ではないだろう。全てこちらで管理する」
『辞めても保護されないって選択肢はないんですね…』



七海さん、呪術師はクソって言葉が身に染みてわかりました。

一般人と保護対象→←一般人と死者蘇生

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す