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真実は解明できたと言う二人は、警察と楽器店の従業員を集わせた。
一連を見ていたコナンは薄々と真実を見抜いている。しかし、二人は数秒にも関わらず、自分は数分だった。
あれだけの短い時間の中で、どれほどの情報を得られたのか。果たしてその推理は合っているのか。
いつもより緊迫した気持ちで、堂々としている二人を見つめる。
「なんだか凄い人達だね、コナンくん」
それまで心配そうにコナンを見ていた蘭が、感心したように吐息する。
二人に集中していたので反応が遅れる。「そ、そうだね」と咄嗟に相槌を打った。
「ひょっとしたら新一より凄いかも……」
「そ、れはどうかなぁ」
その次の言葉への返答は濁したが。仕方ない、そこは名探偵の意地だ。どうか見逃してほしい。
ちょっとだけあの二人を妬んだと同時に、姉が硬い空気を切り換えるよう、口を開いた。
「今回の事件だけど、事故で怪我を負わそうとした殺人未遂ね」
「な、なんだってぇ!?」
端的に一つの真実を述べると、決まり文句を小五郎が叫ぶ。中々良いリアクションを取った彼へ笑み、「そう」と続ける。
「だってまずおかしい点があるもの。どうして楽器が急に落ちてきたの?」
おかしな出来事を疑問に思わなかったのは、小五郎らだけではない。――コナンもその一人だった。
それほどごく自然に見える、卑しい策だ。正直ソレは建前で、二人の掴めない性格に圧倒されていただけなのだが。
だが、姉の言葉に従業員の一人が遠慮がちに声を掛ける。
「ええと、それって店長が棚に当たったとかじゃないんですか?」
「棚に当たったなら、上に乗せてある楽器が落ちてこないかと上を見上げて、落ちてきていた楽器を避けられるわ。違う?」
「あぁ……」
ぐうの音も出ない正論に気圧され、後ずさる。情けない姿を一瞥し、溜息を吐いた。
それから己の金髪を撫で付けると、隣に並んでいた妹へ目配せする。意図を汲んだ彼女はその場から移動した。
「物音が立っても同じよ、だって気が付くじゃない。ならどうして落ちたんだろう、と冒頭に戻るのだけど」
動いた妹を気に止めず、姉は真実を暴こうと言葉を紡いでいく。
「証言だけならただの事故だった。でも、証拠が見つかった事で真実を見出だせたのよ」
「棚がある場所の床に引き摺ったような傷があるんだけど、なぜかアコースティックギターの所にもあるんだよね」
いつの間にかそのギターの近くに立っていた妹が、姉に続いて口を開く。
ここから今回の事件のエンドロールが始まる。
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