w/r/w/r/d さん達のBL集！ぱぁと7

α.奥義の呪文、練習中。 utsha【1】 ページ5

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ut side

僕にとって、「好き」という言葉はとても大切な魔法の呪文。
淫魔という種族柄というのもあるし、その中でも家系能力的にレイラー家の悪魔からする
と特にそうだ。
小さい頃から大して思っていなくても甘ったるい声色で「好きだよ」と囁くことには慣れて
いたし、そうすれば大抵の女の子は例えその「好き」…もとい「Like」が嘘をそれっぽく化
粧したものだとしても頬を染めて嬉しそうにはにかんだりなんかする。
そうして、僕の言葉のあまーい蜜に誘われた蝶々たちを絡め取って傍に置いておくことで、
僕の血に刻まれた欲望を満たしていく。
でも、そんな生き方をしてきたせいか、僕は今欲望では説明ができない感情由来の渇望があ
ることに悩まされていた。
……まぁ、有り体に言えば所謂「恋」とかいうやつだ。
正直、家系能力のこともあってこれまで僕は
「愛だの恋だの、本気になった方が負けやろ」
とか思っていたわけだけど、気がついたらもうそれは僕の心の中に巣食っていやがった。
それだというのに、「あー、負け組。最悪や。」とすら思えないのだから、恐ろしいもので。
それどころか、女の子とデートしてる時ですらぼんやりとそいつのことを考えてしまって、
淫魔としての在り方に支障を来してしまっている。
そして、そんな僕をダメダメにした極悪非道の魔性の悪魔の名は、“シャオロン”。
……いや正直、「なんでやねん」と思った。
というか、今も思っている。
これまで、バビルス入学前からつるんできて、腐れ縁と呼べるまでの付き合いの長さで、よ
りによって恋に落ちるか？
というかいつからや？
一緒に居すぎてもうわからん。
だってアイツやで？
いつも後先考えずに特攻して面倒事持ってきて、ダル絡みとか煽り常習犯で口も悪いし、悪
周期もだいぶダルい変貌するし、ケツバットまじ容赦ないし。あと普通に男やんか。
……でもシャオちゃんてバリ可愛いんよな。
顔もそうやし、華奢だけど健康的な身体とか。めっちゃ優秀すぎ。
あとまぁ、仲間想いやし曲がったこととかせえへんよな。
いつもは煽ったり茶化したりばっかしてるくせに、ガチな時のギャップとかえぐいし。
あいつに救われた奴、もう何人も見とる。
……なんて、一人でぐるぐると考えて、そして、気がついた。
『どうして、“今”だったのか』。

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