▽ kne side ... ページ29
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『 あ、Aちゃん！ 』
「 あれ、かなかな今日本社に居たんだ 」
僕よりも一回り小さな背に見覚えのある後ろ姿が見えたので声をかけた。
あくまで偶然ってことにしとく。だってAちゃんが復帰配信するって言うから急いで来たなんて、そんなカッコ悪いところ見せられないしね。
周りに人影はなく、あるのは窓ガラスに映る自分達のみだった。
それを確認すると息を吸って、口を開いた。
『 その、もう大丈夫なの？いや、言い方変だけど… 』
ずっと聞きたかったこと。
なんで浮上しなかったの、とか
どうしてなんも言わずに、とか
頼ってくれてもいいじゃん、なんて。
それをぶつける勇気もないから、口から溢れ落ちたのは無愛想な言葉で。
もっと言うことあるだろ、って冷静な自分が見下ろしている。
「 うん、心配かけてごめんね 」
『 っ、じゃあなんで電話とか出なかったの、 』
「 ごめんね、 」
『 じゃ、じゃあメールは？見てくれてたよね？ 』
「 …ごめん、ごめんね 」
平行線だ。
唐突にそう感じた。
Aちゃんはなにも言うつもりはないんだと。
途端に目の前にいる彼女が不気味なナニカに見えてきて。
それを否定するように目を逸らした。
謝って欲しいわけじゃなかった。理由がほしかったわけでもない。
ただ、これは。
＿＿＿ 僕が、楽になりたいだけなのか。
そう感じるほどに笑い続ける彼女がそこにはいた。
『 ご、めん 』
「 なんでかなかなが謝るの？わたしが悪いんだから、ね？ 」
そう言うと彼女は僕の顔を覗き込みながら手を握った。
「 かなかなは、なんもわるくないよ 」
『 …うん 』
何も、言えなかった。言えるわけがなかった。
笑いながらそう言う彼女を叱る覚悟もぶつける勇気もない僕が、言えることなんて。
じゃあね、と手を振りながらゆっくり離れていく彼女の背中を見つめながら呼びかけた。
『 …っ、ねえ！Aちゃんの罪って、なんなの 』
歩みが止まった。それでも君は振り返らない。
僕より一回りも小さなその体で、君は何も思ってるの。
何を感じて、何を考えてるの。
「 ひみつ！ 」
屈託のない笑顔が、そこにあった。
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約１週間ぶり更新しました … 遅くなりました 😢
主は学生の為更新が不定期なので把握お願い致します 🙇♀️
土日は更新したい 🫠
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作者名：な る せ 。 | 作成日時：2024年1月7日 2時
