８、存在しない人 ページ9
喫茶処を出る前に言った言葉が、頭の中を行ったり来たりする。
『父が待っているので』
あの時の私はどうかしていた。
父が待っているなど、ありえないのに。
私はキッチンに立って夕飯を作り、父はテレビを見ながら、他愛もない話をして笑い合う。
兄が帰ってきて、三人で机を囲んでご飯を食べる。
そんな平凡な生活が出来たらどれだけ幸せか。
けれど、この願いが叶うことはない。
何故なら父はもう…
「Aさん」
名前を呼ばれてハッとする。
横を見ると、青年が心配そうに見つめていた。
「公園の景色はどうですか？海が見えて素敵でしょう。昼だともっと綺麗なんですけどね」
「すごく、心が落ち着きます。横浜にはあまり来たことがなくて、知らない場所が多いので」
「それは良かった」
青年に案内されたのは海が見える公園。
二人はそこに備え付けられている柵に寄りかかって海を眺める。
空に浮かぶ月が海に反射してキラキラ輝いている光景はとても綺麗で。
時折吹く海風と潮の匂いが、潤んだ瞳を乾かせていく。
「自己紹介が遅れましたね、僕は横谷直哉です。お好きなように呼んでください」
「じゃあ…直哉さん。私は、国木田Aです」
名乗ったとき、彼の目が少し見開かれた気がした。
「どうかしました？」
「あぁいえ、国木田？とは珍しい苗字ですね」
「ええ、よく言われます」
それから暫く、沈黙の間を埋めるように木々がざわめいた。
「先程、何故泣いていたのか聞いても？」
口を開いたのは直哉だった。
「そう、ですね」
Aの金色の髪が海風で揺れる。
風が止んでから、話し出した。
「私、父を4年前に亡くしているんです。同じ年に、一緒に暮らしていた兄も教師になると言って家を出てしまって。私は自然と一人暮らしになりました」
「…そうでしたか」
直哉の優しい声に、Aの涙が再び溢れる。
四年間の寂しかった思い出が蘇ってくる。
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ゆいたろー！(プロフ) - ぺぽんさん» わー！有難う御座います！この作品また見たいと思ってたので嬉しいですッ！！ (1月24日 21時) (
レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - お相手の作品が削除されたことを確認しましたので、再び公開しようと思います。これからもこの作品をよろしくお願い致します。 (1月15日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー！さん» ゆいたろー！さん、申し訳ありません。悩んだ末、二章以降を非公開にすることを決めました。こちらを読んでくださる人もいることは重々承知していますが、このまま盗作され続けるのは嫌でした。 (1月10日 18時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー！さん» 完結した後でも作品を読んでくれている方がいるのは、とても嬉しいです。作品を書き続ける活力になります。これからもこの作品をお楽しみください。他にも作品を投稿しているので、お時間があればそちらもぜひ。 (1月10日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー！(プロフ) - いえいえ、お役に立てて光栄です。これからもこの小説楽しませていただきます (1月10日 17時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぺぽん | 作成日時：2022年5月7日 15時
