45、孤独な少女の本音 ページ46
『私は、お兄ちゃんが嫌い』
そう言ったきり、Aはまた動かなくなった。
まるで何かの映像を見ているかのように一点を見つめて、時折ボソボソと独り言を呟く。
その隙に国木田はAと直哉から距離を取った。
内ポケットから手帳を取り出して、異能発動によって具現化させた『包帯』で傷口に巻きつける。
その時ふと、Aの瞳から涙が溢れた。
「やっぱり……そうだ。お兄ちゃんは私が嫌いなんだ」
「…っ、そんなことない。まだ、俺はお前に伝えてないことがあ」
「今さら何を伝えるっていうの!?」
国木田の声を遮り、Aは悲痛な叫びをぶつける。
「お父さんが死んで、お兄ちゃんも家を出て……四年も私を一人ぼっちにしたくせに!」
返す言葉が無かった。
泣きながら苦しそうに叫ぶ姿は別人かと思うほど、探偵社に来たときとは大違いで。
「お兄ちゃんなんて嫌いだ!大嫌い!!」
……いや、違う。
『今の言葉が、表情が、此奴の本心なんだ』
国木田は、少女の憎しみの籠もった瞳を静かに見つめる。
「……悪かったな、A」
ピタリと、少女の動きが止まった。
「お前に悲しい思いをさせてしまった。あの時の俺は自分のことしか考えていなかったんだ。…俺を恨むのは当然だ」
そう言うと、国木田は手に持っている拳銃を離す。
「やっと諦めたね。ほら、A___」
直哉は操っている少女にそっと囁く。
『殺して、僕らの恨みを晴らそう』
Aは渡されたナイフを手に、一歩、また一歩と国木田に近づいていく。
それは直哉に操られているからなのか、本人の内なる気持ちが行動として現れているのか。
「うわあぁぁぁああ!」
ナイフの切っ先が鋭く光った。
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ゆいたろー!(プロフ) - ぺぽんさん» わー!有難う御座います!この作品また見たいと思ってたので嬉しいですッ!! (1月24日 21時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - お相手の作品が削除されたことを確認しましたので、再び公開しようと思います。これからもこの作品をよろしくお願い致します。 (1月15日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» ゆいたろー!さん、申し訳ありません。悩んだ末、二章以降を非公開にすることを決めました。こちらを読んでくださる人もいることは重々承知していますが、このまま盗作され続けるのは嫌でした。 (1月10日 18時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» 完結した後でも作品を読んでくれている方がいるのは、とても嬉しいです。作品を書き続ける活力になります。これからもこの作品をお楽しみください。他にも作品を投稿しているので、お時間があればそちらもぜひ。 (1月10日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - いえいえ、お役に立てて光栄です。これからもこの小説楽しませていただきます (1月10日 17時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年5月7日 15時