30、告げられるのは真実か嘘か ページ31
「何…言って…」
自分が兄に捨てられた?
指先が冷たくなるのを感じる。
そんな気持ちに追い打ちをかけるように空は薄暗くなっていた。
「あぁ、もう夜ですね」
空を見上げた直哉は呟き、ゆっくりとAを見る。
その表情にも、瞳にも、初めて会った時の優しさは一切感じられない。
「……もう演技をするのは疲れました。正直に言っていいですか?いいですよね?」
直哉は温度の感じない瞳でAを見つめる。
「僕は、貴女のお兄さん
______国木田独歩を殺したい」
一瞬、時が止まったような感覚になった。
殺したい?何を言っているの。
「どうして…お兄ちゃんの、名前を」
青い顔をする少女を見て、直哉は笑う。
「はは、僕に苗字を教えたのは間違いだったねぇ。国木田なんて珍しいから、聞いた瞬間すぐにあのムカつく顔を思い出したよ…」
一歩ずつ。
近づいてくる。
「こ、こないで…」
「国木田独歩を消すために、二年間ずっっと考えてた。どうやって殺してやろうか、ってね」
一歩。
「そんな時、偶然君が現れた。
最初はただの親切心だった。でも名前を聞いて驚いたよ、まさかの
また一歩。
「君の話を聞いて心底同情したよ。彼奴に捨てられた可哀想な子だ。妹も捨て、人も殺した彼奴は、矢張り死んだほうがいい」
「人を、殺した…?貴方に、お兄ちゃんの…何が分かるの」
頭がくらくらする。
この人は危険だ。
早く逃げろ、と本能が警戒音を響かせるのに、何故か体が動かない。
「分かるさ。だって…」
直哉の手が少女の頬に触れる。
ゾッとするほど冷たく光る紫の瞳は少女を捕らえて離さない。
「国木田独歩。彼奴は……
僕の父さんを殺したんだから」
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ゆいたろー!(プロフ) - ぺぽんさん» わー!有難う御座います!この作品また見たいと思ってたので嬉しいですッ!! (1月24日 21時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - お相手の作品が削除されたことを確認しましたので、再び公開しようと思います。これからもこの作品をよろしくお願い致します。 (1月15日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» ゆいたろー!さん、申し訳ありません。悩んだ末、二章以降を非公開にすることを決めました。こちらを読んでくださる人もいることは重々承知していますが、このまま盗作され続けるのは嫌でした。 (1月10日 18時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ぺぽん(プロフ) - ゆいたろー!さん» 完結した後でも作品を読んでくれている方がいるのは、とても嬉しいです。作品を書き続ける活力になります。これからもこの作品をお楽しみください。他にも作品を投稿しているので、お時間があればそちらもぜひ。 (1月10日 17時) (レス) id: a5e819fb1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆいたろー!(プロフ) - いえいえ、お役に立てて光栄です。これからもこの小説楽しませていただきます (1月10日 17時) (レス) id: 09168e2c17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぺぽん | 作成日時:2022年5月7日 15時