眠れないよるは ページ18
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絶賛スプパラの公演中で今はホテル。
明日の2公演に向けて早く寝ようと布団に入って目を閉じると思い浮かんでくる夜公演後に見たあの子の表情がふと蘇る。
声を掛けようとは思った。
でも勝手に決めつけて聞くのもなんか違うと思ったし、
正直あの子から言ってくれるのを待とうと思ったけど落ち着いた今思い返すと、あの子は限界を超えるまで言わない性格だった。
頭の横に置いていた携帯に手を伸ばしてあの子の名前をタップすると。音がなり始める。２コール目の終わりかけに音が切り替わる。
「もしもし」
「なおくん？」
直ぐに分かった泣いてたんだなって声に、と同時になんであの時聞いてあげれなかったんだろうって罪悪感が生まれる。
「ねぇ、なんかあった？」
「んー？なんもないよっ？」
あからさまに元気のない声に、鼻をすする音。
「ねぇ、A話したい、部屋行ってもい？」
電話だとあの子の表情が見れないし、近くで寄り添ってあげたくて問いかけてみると「んー、明日もあるからなおくん寝ないと」と
小さい声が聞こえてくる。
1人で泣かれるくらいだったら俺は自分の睡眠時間を削ることなんかこれっぽっちも辛くないし俺がそばに居たいってのが本音だ。
｢俺が会いたい、だめ？｣
そういうと少し考えてから「来て欲しい」と
素直に聞こえた声。直ぐに「待ってて」と電話を切って、自分の部屋を後にする。
コンコンとドアをノックすると直ぐにガチャっと開くドア。
ドアの向こうに居たAの目はうさぎのように真っ赤で、心が少し痛くなった。
何も言わずに入ってすぐ抱きしめるとAの頬にはポロポロと涙がこぼれ落ちる。
｢ごめんね、はやく聞いてあげられなくて｣
｢んーん、今来てくれたからありがとう｣
やっぱり限界目前だった、この子が強がらずに素直に口に出す時は限界の1歩手前のときだ。
｢俺が来たかったから、でどした？なんかしんどい、？｣
と聞くと、んーんと首を振るA。
「俺にちゃんと教えて？」
そう伝えると、少し覚悟を決めたようにAの口が開いた。
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作者名：にゃん | 作成日時：2023年2月5日 3時
