スターチスを君に.【 Mao.Y 】

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「 …そんな漫画みたいなこと、あるんだね 」


月曜日、藍ちゃんに一昨日のことを全て話した。


『 時代劇で、「せめてお名前だけでも！」
って言うお団子屋さんの娘の気持ちが
すごいよくわかった。 』

「 …Aって意外と渋いよね。
時代劇とか普通あんま見ないよ 」

『 そうかな？結構面白いよ？ 』


「 ま、それは別にいいんだけど。
名前も年齢もわからないんじゃ探しようがないよね。駅だって最寄りかどうかもわかんないし 」

『 だよね…ちゃんと聞いとけばよかったな 』



「 …なんか、Aが女の子の顔してる 」

『 え？ 』

「 完全に好きな人の話してる時の顔だもん、
その人に惚れちゃったんだ♡ 」


『 ち、違うよ！私はただ、
ちゃんとお礼が言いたいだけで…！ 』

「 顔真っ赤だよ♡可愛いなあ♡ 」

『 もう！藍ちゃんの意地悪！！ 』



ぷいっ、とそっぽを向いて
ハニーミルクラテをぐいっと流し込んだ。


…恋じゃないもん、
多分、そんなんじゃないもん。





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