スペースオペラ【WT】 (ページ35)

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ステラの導き / 2 ページ35

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周りよりも人情に富み、そして純新無垢な心を持っている。それが小南桐絵という少女を組み上げる一要素であり、彼女を引き立てる魅力の一つだった。

「ほんとにすごいわ！教えたことちゃんとできるじゃない！」

小南はうれしそうに声を上げた。
数学の少し難しい方程式を解けただけでここまで褒めてくれるのだ、Aは少し気恥ずかしくなるもお礼を口にする。

「教え方がいいからですよ」
「何言ってんのよ。学ぶ気のない人間に教えたって一生わかんないままよ。学ぶ気があってしっかり学んでるアンタはすごいのよ」
「ぇ、」

さも当然の顔をして小南から返されたそれにAは固まった。小南のこうしたはっきりした物言いには未だになれない。相手の目を真っ直ぐ見つめて、濁すことなく明朗と紡がれる言葉は
いとも容易く鼓膜を震わし奥へと滑り込む。
Aはこれがすこし苦手だった。小南のいいところであることは理解していても、真っ直ぐすぎるその言葉はAには眩しすぎる。

Aには知る権利があるはずだと、声を出した時もそうだった。迅や林藤たちのやさしさを、小南だけは「そんなの意地悪よ」と言ったのだ。怖いものから遠ざけるように、蓋をして大事に大事にしようとしていた迅たちは目を真ん丸くして小南を見ていた。「Aは知りたいことを知るべきよ。自分が自分を知らないなんて、そんな怖いこと、あの子にさせる気？」部屋の外でたまたま盗み聞きしてしまったAはその声を聞いて、涙が止まらなかったのを覚えている。部屋から漏れた光の隙間から見えた小南は、間違いなく眩しく、一等星のようだった。

「もっと自信持ちなさいよ。あたしのお墨付きよ」

その瞳に輝くエメラルドがAを見つめた。

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