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昨日、裕太くんが風邪を引いて休んだ日の朝、
あの人、……まふくんが、家を訪ねて来た。
もう、帰らなきゃいけないんだ、って。
そう思った途端、また涙が零れてしまいそうになる。
出会えば、別れは来るのに。
その状況を作ったのはわたし自身なのに。
離れたくない、そばにいたい、
って、心が叫ぶんだ。
ズキズキと痛む頭で、色んなことを考えながら学校に行ったのに、
裕太くんは風邪で休んでいて。
そんなこと聞いたら、
考えてた言葉やシチュエーションが全部消えて、
授業が終わるまで心配ばっかりして。
放課後、
明日はないかもしれないから、
お見舞いっていう理由をつけてあなたに会いに行くことにしました。
でも、1人はなんだか怖いから、
嘘までついて志麻くんについてきてもらって。
なのに、志麻くんは帰ろうとするから引きとめようとしたら、
“ あいつんこと、よろしくな ”
って優しく笑うから。
涙が出そうになった
ごめんなさい、志麻くん、それはできないや、
だってわたし、いなくなるんだよ、
裕太くんのそばに、いれないんだよ。
友達を想う志麻くんの気持ちが
ずしんと心に罪悪感という重みを残し、
苦しくて、涙を抑えるのに必死だった。
それなのに、追い討ちをかけるように裕太くんも、
“ どこも行かないで ”なんて弱々しくわたしに抱きつきながら言うから。
私の気持ちはぐらぐらしてしまう。
全部ちゃんと言おうって、決めたのに。
別れをいうって、決めてたのに。
最後はあなたの笑顔が見たいから、このまま、静かにいなくなろうか。
わたしが消えたら、裕太くんはどう思うのかな。
9年前のあの日のように、別れを悲しんでくれますか。
それとも、自分には関係ないことだと、気にせずこれからの人生歩んでいくのかな。
でもそれで、笑って生きて、幸せになってくれるのならそれでいいや、
そう思うはずなのに、
同時に、なんで隣にいるのがわたしじゃないの。と、妬むわたしもいる。
ああ、あなたと、両想いならよかったのに。
何度もそう、思い、願いました。
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高瀬その(プロフ) - コメント失礼します。今日この小説を読んだのですが二人の気持ちとか凄く伝わってきて泣けるけど本当凄くいい話だなあと思いました…!これからも応援しています、頑張って下さい! (2017年12月29日 9時) (レス) id: 68845d469f (このIDを非表示/違反報告)
あまみや。(プロフ) - ルイルリ@雨傘さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです…!!読んでいてちょっぴり胸が苦しくなるようなそんな作品を書きたかったので、本当に嬉しいです。頑張ります!ありがとうございました! (2017年8月6日 3時) (レス) id: c73d1202f1 (このIDを非表示/違反報告)
ルイルリ@雨傘 - コメント失礼します!!すごくいい話ですね!!泣ける…こんな話を書いてみたい…更新頑張ってください!!応援してます!! (2017年7月25日 12時) (レス) id: 27bfa0ba5b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あまみや。 | 作成日時:2017年1月10日 17時