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「よ〜お疲れ〜」
ふと聞こえた労いの声に振り向けば、そこには両手にホット用のコーヒーカップを持った難波君がいた。
お疲れ様と返事をすると、どっちがいい？こっちコーヒーでこっちがカフェラテ、と両手に握っているものの説明をしながら選択権をくれた。私はカフェラテの方を受け取り、一口飲む。難波君は残ったコーヒーの方を口に近づけながら、側にあったテーブルに軽く腰をかける。
「……眠い」
『寝不足？』
「いや、そんなことはねえとは思うけど、この時間はもう眠い」
『着々と老いていってる証拠だね。もう若くないよ難波君』
「んなこと言ってたらお前も老いてってるってことだろ。やーいやーい」
『中身は小学生だ。見た目は大人、頭脳は子ども。その名は「うるせえ」
1拍の間の後、軽口をたたきながらズズズっとお互いコーヒーとカフェラテを啜る。カップを口から離した瞬間、何だかさっきの会話からじわじわと込み上げてきて思わずんふっと笑いが漏れてしまった。それを聞いた難波君もんふっと笑った。やはり夜は人のテンションをおかしくさせる。
というのも、現在21時の私たちはとある収録現場のヘアメイクルームにいる。今日は私と難波君の2人だけ。人数が少ない収録なため、そこまで人手がいらないからだ。
そして、何の収録現場かと言うと、、、
「お〜！Aちゃんと難波君じゃん！」
「お疲れ様〜」
ガチャと扉が開く音がし、2人してそちらの方を向くとそこには片手を挙げて私たちの名前を呼ぶ浪川さんと朗らかな笑顔でお疲れ様と言う花江さんだった。
そう、ここは『声優と夜遊び』の収録現場なのだ。
今日は木曜日なので浪川さんと花江さん。大人気声優のお2人だからこそ、様々なイベントや撮影があるため、私と難波君を含めた4人が1度に集まることは今日が初めてでも、私と難波君それぞれがお2人に会うことがあるので、みんな面識あり。そして気さくに話してくれる方達なので、すっかり打ち解けて仲良くしてもらっている。
「俺、Aちゃんの方に行くわ」
「待ってくださいよ浪川さん、僕だってAちゃんがいいです！」
「俺の方が先輩なんで先輩優先ですぅー」
「あー！出た出た歳上だからってすぐ年齢の権力使う奴ー」
「ねえ俺が可哀想じゃないですか？？」
浪川さんと花江さんの会話に難波君が自分で自分のことを指差しながら主張する。その流れが面白く、4人で爆笑しながら準備が始まった。
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続く (更新停止中)
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作者名：sen | 作成日時：2023年9月1日 18時
