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「雄馬ー!」
「あっ!姉さーん!Aちゃーん!」
お店の前に立つ1人の男性に真礼さんが名前を呼びかける。
男性はその声に気付き、こちらに手を振りながら真礼さんと私の名を呼ぶ。
この男性は真礼さんの弟で人気声優の内田雄馬君。
1つ歳上だけど君付けと本人の希望で敬語を外して接している。本当は君もいらないと本人が言っていたが、さすがに恐れ多いのでせめてもの君付けで妥協してもらっている。
「お疲れ様!」
「お疲れ様!雄馬遅くなってごめんね!」
「全然大丈夫!俺達も今さっき着いたところだし!先入ったから、席分かりづらいかなって思って外で待ってた!」
「さっすが雄馬!気が利く〜!」
「ふはは〜!そうでしょ〜!」
仲良し内田姉弟のやりとりを微笑ましく見ながら、雄馬君に案内されて真礼さんと私は店内に入った。
ー
「まややーん!Aちゃーん!」
「お疲れ様」
案内された席は奥の5〜6人くらいが入る座敷個室だった。
雄馬君が開けてくれた襖を背に靴を脱いでいると、後ろから明るく名前を呼ぶ声と、落ち着いた労いの声が聞こえた。
振り返ると座敷には小松未可子さんと榎木淳弥さんがいた。
ということは、、、
『雄馬君もイベントがあるって真礼さん言ってたけど、それってもしかして呪術廻戦?』
「ピンポーン!正解!」
メンバーを見て投げかけた疑問に雄馬君が揚々と返事をする。呪術廻戦も今大人気のアニメで私も好きで毎回観ている。そのキャラクター達の声を演じている人達が目の前にいると考えると、何とも不思議な感覚。とは言いつつも、2人を下の名前でさん付けで呼んで何ともなしに会話を交わすくらいには親しくさせてもらっている。
空いている場所に座ることになるので、淳弥さん、雄馬君、未可子さん、その向かいに奥から私、真礼さんとなった。
物の受け取りとかするから真礼さん奥に座って、と言ったが、そんなの気にしないで!と流れるままに奥へ座らされた。
「まややん何飲む?」
「んー、ハイボールにしようかな!」
「Aちゃんは?」
「私はレモンサワー!」
「おっけい!」
雄馬君と真礼さんと私が入室した時からスタンバイしていた店員さんに未可子さんが注文をしてくれた。
ほどなくすると全員分の飲み物が届いたので、雄馬君の音頭で乾杯がスタートした。
「イベント、そしてヘアメイク、お疲れ様でしたー!カンパーイ!」
「「「『カンパーイ!!!!!』」」」
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作者名:sen | 作成日時:2023年9月1日 18時