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「まー、すんげぇね」



台に片手をつきながら体重を預けて立つ難波君が、メイクルームにあるモニターを観ながら言う。
準備が整った声優さん達が、開始した第1部のキャスト紹介と共に入場する。その度に会場のキャー!という黄色い声が響き渡る。人気なアニメと同時に人気な声優さん達が起用されているからこそ歓声がもう凄い。クールな難波君も思わず声が出るくらいに。



『私もキャー!って言われてみたい』

「はいはい。2部に向けて準備するぞー」

『冷た』



なんて軽口を叩き合いながら1部に向けて使った道具を整理し、必要なものを補充していく。これが終われば一旦休憩だ。今日のお昼ご飯は何を食べようか、そんなことを考えながら作業を進めた。











無事に両部とも終わり、スタッフやキャストそれぞれが退勤に向けて動き始めた。
使ったメイク道具やヘア道具を専用のバッグに詰め込み、机上や床を掃除する。



「Aちゃーん!今から時間ある?」



側にやってきて声をかけてきたのは真礼さん。
私服になっていることから退勤の準備は完了したらしい。



『うん、私ももうこれで今日は退勤だから時間あるよ』

「ほんと?!それなら一緒にご飯行こ!」

『え!いいの?!行く行く!』

「やったあ!あ、でね!今日雄馬もイベントがあって、終わる時間が私達と同じくらいなの!よかったら合流してもいい?」

『もちろん!』

「よしっ、じゃあAちゃんも来ること伝えるね!」

『うん、よろしく』



急いで片付けるね、と私は続け、スピードを上げた。
ゆっくりでいいよと真礼さんは言いながら雄馬君にLINEを入れている。
2部が始まってある程度片付けていたのでもう終わりそうだ。
鏡の汚れチェックをし、イスを戻して真礼さんに向き直った。



『真礼さん終わったよ!自分の荷物取ってくるね』

「あ!私も取りに行かなきゃ!」

『で、この道具のバッグをお店の車に積まないといけないから、裏口集合でもいい?』

「了解!またあとでね!」



控え室に向かう真礼さんの後ろ姿を見届け、道具バッグを肩にかけた私はスタッフルームのロッカーに向かった。










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作者名:sen | 作成日時:2023年9月1日 18時

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