Cocktail [Zweite] -HSJ-

＊ ページ44

SIDE＿Keito


大ちゃんに振り下ろされる筈だった拳を受け止め、山ちゃんの名前を叫ぶ。

…何、してるの。
今までの努力、ここで水の泡にする気なの？


kt「駄目だよ…駄目だよ、山ちゃん！
　今まで重ねてきたこと、全部崩れちゃうよ？それでもいいの…？
　普段の山ちゃんならこんな事しない。早く目を覚ましてよ。」

cn「…ほんと。早く目、覚まして？」


…ふと、耳に入った声。
その声は冷たくて。その声の主がこちらに向ける目は、この場を凍らせてしまうのではないかと思うほど、冷たかった。


cn「何熱くなっちゃってんの？さすがに殴るのは駄目でしょ。

　そっちこそ邪魔しないで。」


冷酷、とは正にこのことか。
山ちゃんの様子に動揺もせず、宥めるどころか邪魔者扱い。

確かに、そうかもしれないけど…今のは酷くないかなぁ…？


cn「…何、不満気にこっち見て。
　僕になんか文句でもある？」
kt「あ、いや……」


…ここで、無いって言ったら昔と一緒だよね。
少しずつだけど変われたんだ。

そしてこれからも変わらなきゃ。


kt「知念様、今のは＿＿」


「今のは酷いよ。知念。」


…俺の言葉を遮り、会議室を出ようとする知念様の目の前に現れたのは。
ついさっき、こっちに到着した裕翔だった。


cn「…僕に口答えするの？」
yt「えぇ。

　断片的にしか聞いてないから、とやかくは言えないけどさ。
　こんなのいつもの知念じゃないよ。

　…終わらせるんでしょ。この醜い争いを。」

cn「………。」


知念様が目を伏せ、こくりと頷く。

会議室には、重苦しい沈黙が流れていた。


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