Cocktail [Zweite] -HSJ-

＊ ページ41

SIDE＿Yamada


ar「"銀虎"のかけら…？」


…分かんないよね。ごめん。
でも、そうとしか言えないんだ。

ついさっきまで、俺は夢の中に居た。
戦争が激化して、どっちの国も滅びる。なんて不吉で、現実的な悪夢。

大ちゃんが引き戻してくれたおかげで、今はなんとも無い。
だけど、不安でしょうがないのは事実だ。


今回倒れてしまったのも、きっとストレスのせいだろう。

周囲から寄せられるの視線が怖い。
無駄に大きすぎる期待が怖い。
死ぬのだって怖いし、周りが死ぬのだって怖い。
そのせいで眠りは浅くなるし、食欲だって無かった。
そんなことしてたら、そりゃ倒れもするよね。

まだ気分はちょっと悪いけど、別にこれぐらいどうってことない。


俺は国王だ。
俺が止めなきゃ、この戦争は終わらない。
そして、この戦争を終わらせるためには、"銀虎"のかけらがどうしても必要なんだ。


服を着直して、マントを羽織る。
まだ全快じゃないからって止める大ちゃんの声も無視して、俺は医務室の扉に手をかけた。

……瞬間だった。


「ねぇまだっ………え…？」
ym「………っあ…！！」


…間違いない。
間違うはずがなかった。

深い銀色の瞳。色素の薄い髪。
右頬に、一際美しく輝く月。

目の前に居るのは、確かに敵対国の国王である知念侑李。
だけど、俺にとっては何よりも特別な存在。

ずっと、ずっと夢の中で一緒だった。
ずっと、ずっと2人で支え合ってきた。

探し求めていた人が、目の前に居た。


ym「…和解しよう。」
cn「僕もそれ伝えに来たの。」


「「じゃなきゃ滅びる。」」


ほら、やっぱりそうだ。


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