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4.ある日の話 ページ4

*



「君は本当に僕のことが好きだねぇ」

 それは首領の執務室での待機期間中のことであった。
 黒髪の蓬髪の少年ーーー太宰治が、呆れた物言いで声をかけると、彼女は即座にパッと明るい表情で「うん」と華やかに笑う。

 太宰は最近流行りだというゲーム機の画面ばかりを注視して彼女には全く目もくれないが、彼女はその間も太宰を見つめてにんまりと口の端を上げるのだ。「幸せそう」。このフレーズは正に彼女の為に有るのだろうと、入口に立つ警備役の男はぼんやりと思った。

 それから会話が無くなって数分。
 呆れたことに、彼女はそれでも何が楽しいのか、延々とにまにまと笑ってソファーに腰掛ける太宰のことを見下げている。太宰は本当にとんでもない女だと思った。

 とうとう無言と痛いくらいの視線に耐え難くなった太宰は、一つくらい話題をくれてやるか、と彼女のもう真っ青な瞳を見つめた。瞳は冬の海を閉じ込めたくらい真っ青なのに、その視線は熱すぎて思わず火傷してしまいそうなのだから仰天である。直ぐに頬が赤く染まっていく。


「どのくらい好き?」
「うーん.........」
「僕と一緒に死んじゃえるくらい?」


 きっと、「うん、そう。私、太宰くんと心中できちゃう!」と微笑むのだと思った。大好きよだざいくん。かっこいいよだざいくん。わたしと一緒に死のう!
 けれども、返ってきた答えは予想と全く異なるものであった。

「無理かも。だざいくんとは、死ねない」

 太宰はほう、と息を吐いた。
 確かに確固たる根拠は無かった予想である。
 しかし、ケラケラと笑う少女は、間違いなく自分のことを好きであるはずなのに、この子はどうしてそうなのか。

 一瞬世界が反転してしまった気さえした。これはたいてい大袈裟な話で、バカげた喩えである。
 ゲーム機を操作する親指の動きが止まった。
 表示は「Lose」。音を設定していなかった為、彼女はそんなことには気が付いていない。
 次の彼女から発せられた言葉を聞いたとき。
 こんなに冷たい指先を愛するのはバカな証拠に違いない。先程から君には一度も目をくれなかった。こんなに小さなゲーム機と、君の重たい人生14年間を天秤にかけて、後者を蹂躙してやったのに。
 なのにどうして、と太宰は思った。


『だざいくんには生きてて欲しいから……ね?』


 形の良い唇から発される艶めかしい言葉に、一応は思春期の男子の心臓が一段と大きく高鳴った。


*

5.偽物の愛と本物の愛の邂逅→←3.世界破壊



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宮古みなこ(プロフ) - 黒灰白有無%さん» 返信遅くなってしまい大変申し訳ありません😭キスが精一杯のプラトニックラブを描いているつもりなので綺麗な物語と言って頂いてとても嬉しいです!私もごごりのシーンは懲りました!内容は超考えてるので更新頑張ります!本当にありがとうございます。💦 (9月29日 22時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
黒灰白有無%(プロフ) - 失礼致します題名に惹かれまして1から拝見為せて頂きました!綺麗な物語というイメージが大きいです.ゴー/ゴ/リとの絡みが特に大好き過ぎます!!綺麗で且つ迚も面白かったです!!続きも楽しみに仕手おります無理は為さらないで下さいね.これからも応援しております!! (9月15日 15時) (レス) id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
宮古みなこ(プロフ) - 風花さん» ちょうど読み返していたところでした❗️コメントを頂きありがとうございます。現在続きを作成中です!!!待っていて下さって大変感謝しかありません。もう暫くお待ち頂けると嬉しいです!前作に引き続きありがとうございます! (9月4日 23時) (レス) id: 3762c357ba (このIDを非表示/違反報告)
風花(プロフ) - やはりこの作品は面白い!!続きを楽しみにお待ちしております!! (9月4日 12時) (レス) id: 093315c16a (このIDを非表示/違反報告)
kurumi - こちらこそ、返信有り難う御座います。しょうう、と読むのですね。どうも、人名を読むのは不得意なものでして…😅 (8月19日 10時) (レス) id: 36a2ebbf69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:砂糖やよい x他1人 | 作成日時:2023年7月11日 21時

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