7.友達 ページ7
午前の授業は、なんというか、退屈だった。
一ノ瀬くんのことばかり頭に入ってきて、いつも本を読んでいる(ふりをしている)休み時間さえも、心は空っぽだった。
「……えーと、12ページを……矢口、読んでくれ」
一ノ瀬くん、……虐められたりしてないかな……。
「矢口!」
『はいぃっ!……』
え!?え!?え!?
先生に大きな声で呼ばれ、私は勢いよく立ち上がる。
「12ページ、読んでくれ!」
『……あ、は、はいっ!……』
私は慌てて教科書を持つ。
周りは「クスクス」と私を嘲笑うかのように見ていた。
……注目されてるぅぅぅぅ!!!!(泣)
.
.
『……い、一ノ瀬くんいませんかっ!!』
「はーい」
『わっ!?……』
一ノ瀬くんのクラスの教室のドアをピシャリと勢いよく開き、すると後ろから一ノ瀬くんの声が聞こえた。
振り替えると一ノ瀬くんはにこにことわらって腕を背中で組んでいた。
一ノ瀬くんのクラスの人たちは、ヒソヒソと私をみて噂している。
……やべっ!本日2度の注目じゃねぇかぁ!!!
『い、いこっ!……』
「……うん、」
私が一ノ瀬くんの手首をつかむと、一ノ瀬くんはコクンッと頷いた。
学校中に注目されて、正直泣きそうだけど、めげない!しょげない!諦めない!が私の本性です!!
……一ノ瀬くんは、私のたった一人の友達なんだから
傷だらけで、ボロボロだけど、よく笑う人だから、
少し、いやかなり、いや結構変な性格だけど、悪い子ではないから、
『……一ノ瀬くん!』
「……なぁに?」
私は途中でくるっと振り返ると、一ノ瀬くんは微笑みながら首をかしげた。
私は掴んでいた一ノ瀬くんの手と、一ノ瀬くんのもう片方の手を両手で合わせる。
『……あ、あの、私は一ノ瀬くんの味方だからね!……その、悩みごととかあったらいってね!』
他の人からしたら綺麗事だろう。
でも、誰からも蔑まれて、嫌われて、そんな一ノ瀬くんを、心から守りたいと思ってる。
『……私たち、友達、なんだから!』
一ノ瀬くんは目を丸くして、私の顔を見つめる。
今まで友達がいなかったから、扱い方とか、よくわからない。
けどきっと、友達って言うのは、支え合うものなんでしょう?
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ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2019年10月24日 0時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
はなね - 貧欲ではなく貪欲では? (2019年10月22日 14時) (レス) id: ea485f4be1 (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 愛香さん» ありがとうございますううううう!!!!はい!天界から降臨したエンジェルボイスを持つ天使さんの予定です!!はい!頑張ります! (2019年4月18日 20時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - layuさん» ありがとうございますううううう!!!!今回はそらまふを少し意識いたしました!……(`;ω;´)……わかりました!ご要望とあらば書かせていただきます!しかし主の心の体調ややる気具合で変わってくるので、更新されなかったら諦めたと思ってくださいw (2019年4月18日 20時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
愛香(プロフ) - 今回も面白かったです!次は……どこぞのバーコードさんですかね?待ってます!頑張って下さい! (2019年4月18日 20時) (レス) id: 02509c761b (このIDを非表示/違反報告)
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