29.苦笑い ページ29
『……やっぱし唐揚げセットだね!』
「………ふふっ、Aさんは本当に唐揚げが好きですね」
『……だって美味しいし!』
あれから午前の授業はすらすら終わり、お昼。食道で一ノ瀬くんと相川くんとご飯をたべている。
まぁ、人気な相川くんに、ある意味注目されてる一ノ瀬くんが加わるから、例えはしっこの席だろうとじろじろ見られる。
……私と相川くんが仲良くお話をしている中、一ノ瀬くんはボーッとしながら箸でご飯を掴んだまま見つめていた。
『……一ノ瀬くん?』
私がそう名前を呟くと、一ノ瀬くんの体はピクッと跳ねる。そして、私の方を向いて、またいつものように微笑んだ。
……何か、あったのかな?
そう感じてしまう私は、やっぱり一ノ瀬くんのことが好きなんだなって思ってしまう。
「…………どうしたの?」
『…………いや、その、』
まるで何事もなかったかのように一ノ瀬くんは笑う。だから、私は何て言えばいいのかわからなくなってしまった。
……もしかしたら、一ノ瀬くんは無理して笑ってるのかな。……だとしたら、何かしてあげたい、けど、……
相川くんの時だって、何もできなかったのに。……一ノ瀬くんの時も、どうせ何もできないんだろうな。
「…………一ノ瀬先輩、猫はお好きですか?」
「………猫?」
「…………はい!猫って、丸くしてふわふわで、かわいいんですよ?」
相川くん、ナイス……!!
私は心のなかで全力で相川くんにグッと親指をたてた。相川くんには感謝しかないな。うん。
「……んー、たまに路地裏で野良は見かけるけど……」
「……野良猫にご飯をあげると、すごく懐いてくれるんですよ」
…………野良猫、……足、噛まれたなぁ(泣)
何て苦い思い出を掘り起こしていると、今度は一ノ瀬くんが口を開いた。
「…………でも、俺は猫より大切なものがあるんだ」
「『大切なもの……?』」
つい、私と相川くんは口を揃えてしまう。それがあったからか、一ノ瀬くんはクスリと笑った。もちろん私と相川くんも笑った。
「…………Aさんとは気が合いそうです」
『……あははっ、そうだね!』
なんて会話を交わしている間、一ノ瀬くんが苦笑いだったってこと、見抜けやしなかった。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2019年10月24日 0時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
はなね - 貧欲ではなく貪欲では? (2019年10月22日 14時) (レス) id: ea485f4be1 (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 愛香さん» ありがとうございますううううう!!!!はい!天界から降臨したエンジェルボイスを持つ天使さんの予定です!!はい!頑張ります! (2019年4月18日 20時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - layuさん» ありがとうございますううううう!!!!今回はそらまふを少し意識いたしました!……(`;ω;´)……わかりました!ご要望とあらば書かせていただきます!しかし主の心の体調ややる気具合で変わってくるので、更新されなかったら諦めたと思ってくださいw (2019年4月18日 20時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
愛香(プロフ) - 今回も面白かったです!次は……どこぞのバーコードさんですかね?待ってます!頑張って下さい! (2019年4月18日 20時) (レス) id: 02509c761b (このIDを非表示/違反報告)
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