32.感謝 ページ32
「うわっ!?……と、突然通りすぎたよ、Aちゃん、……」
「お、追った方がいいのかな?……」
「……あんたら誰?……」
「お前ら、生徒会の……」
「「あ」」
.
.
.
行かなきゃ。多分、そらるが待ってる。
家?公園?病院?どこへいけばそらるはいる?
『……何処にいるの!……』
そう溢し、確認のため家へと向かった。
中に入っても、案の定誰もいない。
……やっぱり、外に向かうか。
そう思い、リビングを振り返ったときだった。
「……A?」
『…………そらる?…
…そらるだ!…………』
「わっ!?……」
後ろでは少し寂しげに突っ立っているそらる。
私は会えたのが嬉しくて、ついつい飛び付いた。
「……ど、どうしたの?……」
『……そらるに、話があってきたの。』
「……話?」
『……そらるの、そらるの過去について、』
すると、そらるは肩をピクリと跳ねさせ、俯いた。
「……ソファに、座ろっか。」
私はそんなそらるの消え入りそうな声を逃さず、コクリと頷いた。
.
.
.
「…………そうか、話しちゃったかぁ、……」
『……うん。全部聞いた。』
私は先程浦田先生と坂田さんから教えてもらったと言うことを言い、そらるに説明する。
そらるは苦笑いをしながら話を聞いていた。
「……情けないでしょ?大切な人一人も守れず、挙げ句のはてにはAを見守るだけの今まで。……ほんと俺、何で生きてるのか……」
『そんなことない!!』
私はそらるの弱々しい声を遮るかのように声をあげた。
違う、そらるにそんな思いをしてほしかったわけじゃない。
ただ、ただ素直に、ありがとうって伝えたかった。
私はそらるの方を向き、腰に両腕を回した。
『……ありがと。……
今まで、怖かったよね。苦しかったよね。……なのに、私のためにも頑張ってくれて。……いつも、側にいてくれて。』
私はらしくない言葉を口にしては本音を伝える。
……そらるのお陰で、今の私があるんだ。
「……ごめんっ、……ごめっ、……俺が、俺がつれていかれなんかしなかったら、あの人の未来が、変わってたかもなのにっ、……」
そらるは鼻声になり、まるで子供のように泣いていた。
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ましゅ - そらる吸血鬼えろるすぎやr((( めっちゃ好きです!! (2022年7月17日 9時) (レス) @page35 id: de60ba5332 (このIDを非表示/違反報告)
蒼也 - 440票目ゲット!シャー↑ (2019年7月15日 23時) (レス) id: 86451e69dd (このIDを非表示/違反報告)
利闇涙(プロフ) - 初コメ失礼します!めっっっっっちゃ感動しました!とても面白かったです!完結おめでとうございます!お疲れ様でした! (2019年5月11日 12時) (レス) id: da6ca6fcda (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» おぉぉぉぉwwありがとう!!wwあんまりやると怒られちゃうかもだから気を付けてね!w(でも小説の感想だからワンチャン大丈夫かもw) (2019年3月30日 0時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(主にDS)(プロフ) - うらたん、いい人だったw吸血鬼、萌えた(萌えはてたわ)私も長々とコメしてるやつにちゃんと返してくれるやのん好きよ← (2019年3月30日 0時) (レス) id: 1e511e327c (このIDを非表示/違反報告)
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