28.精一杯 ページ28
『……よ、よかったぁ、……』
また私のまぶたから滴がポツリポツリと頬を伝い、私は安堵の声を出す。
もしも彼方先輩が本当にげすいやつだったら、私も死んでただろう、
「……ふふっ、その代わり今度お礼してもらうけどね」
『わ、わかりました!何でもおごります!』
「奢りじゃなくてもいいんだけど、……まぁいっか。」
私がそう感謝の意味を込めて告げると、彼方先輩は少し困った顔をする。
……な、なにか変なこといったっけ?
そう気まずくなっていると、
「……それと、棗なら屋上にいるよ。今のうちに話しかけたらどうかな。」
すると私の耳元で囁き、そう微笑んだ彼方先輩。
女遊び激しいらしいけどいい人だ!!……
『はい!』
私はそう元気良く返事をして屋上へと向かっていった。
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「……ふふっ、あいつの元カレが俺ってことは気づかないだろうなぁ…
Aちゃん……。真冬が惹かれる理由もわかるよ。……」
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私は全速力(廊下は早歩き)で屋上へと向かった。
キィィッと古めのドアを開くと、案の定棗は背を向けてたっていた。
『……はぁっ、……はぁっ、……な、なつめ、……』
私は息を切らして棗を呼ぶ。
だけど、棗が振り替えることはなかった。
『……棗、本当にごめん!!』
私は横側から来る風に吹かれながらも、お辞儀をして謝る。
『……棗、辛かったよね。悲しかったよね。ごめん、本当にごめん。』
私は自分の本音を、たんたんと話していく。
それが例え棗の心に響いていなくても、聞いてくれさえすればいいのだ。
『……私、もうやなの。大切な人がいなくなるのは!』
棗の裏切り、相川さんからの躊躇。
二人から拒まれてきた。
『……無理にとは言わない。けど、お願いさせて?……
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もう一度、私の親友になってください!』
私は声をあげて、そう簡潔にまとめた。
ダメだとしても、ダメと言う意見が聞ければそれでいい。
今はただ、棗の言葉が知りたい。
「……わしのほうこそ、ごめんね。」
棗は寂しそうな顔をして、こちらを振り返った。
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ちょこ - とてもよかったです!その後話がもっと欲しい! (2019年9月24日 17時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話もっと読みたい! 終わって欲しくない(´;ω;`)あとそらるさん(彼方先輩)今は夢主ちゃんのこと、どう思ってるんだろう…?とても気になる…!! (2019年8月24日 1時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» できれば気づかないでほしかったぞwwww違うよ、やのんはいじる役だよ((((((((( (2019年4月1日 22時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
夜空(主にDS)(プロフ) - やのさん» ごめんなー(棒)ちょっと嬉しい気持ちがあったんだわ(^^)恥ずかしいんだね〜一生使えるネタが出来たw(嘘です)やのんは、いじられ役だね(( (2019年4月1日 22時) (レス) id: 1e511e327c (このIDを非表示/違反報告)
やの(プロフ) - 夜空(主にDS)さん» 毎度のごとく長文のコメントありがとぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!( ;∀;)うん!更新頑張るね!ちょっwwwほめてくれるのはうれしいけど、恥ずかしいからそこには触れないでwwww (2019年4月1日 22時) (レス) id: 6bb0fe0dd0 (このIDを非表示/違反報告)
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