CASE3-85 御手杵side ページ15
その後ろから
「おい、そう勢いよく障子を開けては、外れるかもしれんだろう」
と声が聞こえる。
「おい御手杵！！怪我は大事無いか！？」
「大包平、声が大きいぞ。怪我に触る」
「む、そ、それはすまん」
うるさそうに鶯丸さんに言われて声を小さくした大包平さん。でも正直確かに身体に響いた。
大包平さんはどかりと俺の寝転んでいる布団の横に腰を下ろし、胡座をかいて腕を組み、鶯丸さんはその横に静かに正座した。
「それで、問題は？」
さっきよりも大分声を落として、囁くように尋ねてくる大包平さんに、俺は
「大丈夫」と笑った。
大包平さんは眉間のシワを深くして難しそうな顔をして腕を組み直した。
「今回の隊長は俺だったからな。お前の怪我は俺にも責任がある」
「いや、俺が勝手に怪我しちまったから」
「そうだとしても、俺自身が許さん」
そう大包平さんに言い切られて、へにゃりと俺は眉を下げた。
すると鶯丸さんは持っていたお盆をこちらに差し出してきた。
「まあ、大事が無いなら良いだろう。今日は馬当番だったからな、握り飯を持ってきた。いるか？」
「馬当番の残り…？ち、ちょっと遠慮しとく」
「そうか？じゃあ大包平は…」
「俺が馬の食べ残しを食うと思うのか」
「別についでに握っただけだから食べ残しではないぞ」
「…ならば頂こう。御手杵はいらないのか？」
「えっ、いやぁ…」
大包平さんはおにぎりを食べ始め、もしゃもしゃ咀嚼している。
障子の影から
「いやそういう問題じゃねえだろ」
と声が聞こえた気がしたが、気のせいだろうか。
正直、腹は減ってはいるのでありがたい申し出だ。
「じゃあ、もらう」
「……おい、鶯丸。生の人参が入っているんだが」
「ああ、味は塩と昆布と人参だ」
「人参とは何だ」
「人参というのは橙色の実をした地面に生える野菜だ」
「違う！何故それを握り飯に入れたのかと聞いている！」
「馬が好きだと聞いた」
「やはり食べ残しではないか！！」
そう叫ぶ大包平さんの声が頭に響き、思わず顔を歪めてしまう。
それに気付いた鶯丸さんが
「大包平、声」
と咎めたので、大包平さんはぐ、と詰まって引き下がった。
「まあ細かいことは気にするな」
「…食事を残すのは良くないからな。仕方ないだろう」
「あ、食べるんだ」
そのままぼりぼりと音を響かせながら人参を噛み砕く大包平さんは、時折「生は意外と固いものだな」と声を漏らしている。
俺のは昆布だった。少し安心した。
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白萩(プロフ) - アーーーッ！！あったっ！！！！パス通ったッ！！！セーフッ！！！！！ (2022年7月18日 17時) (
レス) id: b9eb7ef066 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきみもち(プロフ) - こんにちは！！！元白萩でございます！！！アカウントログイン不可能ッ！！！！すまない読者様！！！！！いつかpixivかなんかで放出します！！！！！ (2022年7月18日 12時) (レス) id: e86e9ee7be (このIDを非表示/違反報告)
白萩(プロフ) - びっぐとまとさん» こちらこそ、読んで頂きありがとうございました。素敵な作品や、忘れないと言われてとても嬉しいです！！こんな形になってしまいましたが意地でもネタは放出します！！本当にありがとうございます！！読者様大好きです！！ (2020年7月23日 12時) (レス) id: cd13c32878 (このIDを非表示/違反報告)
びっぐとまと(プロフ) - 今まで素敵な作品を提供していただき、ありがとうございました！そして本業や生活がある中での更新、お疲れ様でした！素敵な作品と出会えたこと、一生忘れないと思います。 (2020年7月23日 1時) (レス) id: 5f452c992d (このIDを非表示/違反報告)
びっぐとまと(プロフ) - こんにちは！楽しく読ませていただいておりました。成り代り設定のお話でも他のものとは違って新鮮で、心情の変化にドキドキしながら読んでいました。この度作者さまのコメントを読み、どんな形でも更新するという選択をされたことにありがたく思います。→ (2020年7月23日 1時) (レス) id: 5f452c992d (このIDを非表示/違反報告)
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