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「崇裕くん？」
声をかけると、ビクッと肩を震わせて、勢いよく振り向いた。
紫「なんや、Aちゃんか。びっくりしたー」
そう言いながら、崇裕くんは後ろ手で棚の引き出しを閉じた。
多分あれは望くんが、開けないでと言っていたところ。
「ごめん、驚かせて」
紫「ううん。大丈夫やで。どないしたん？」
「あ、えっと、喉乾いちゃって」
紫「冷蔵庫の中にお茶とか入っとるから、飲んでええよ」
「うん、ありがとう」
リビングの隅、棚の前に立ったまま話す崇裕くん。
私もそのまま冷蔵庫まで行って、お茶を取り出した。
紫「照史のとこで働くんやって？」
「うん。明日からさっそく」
紫「よかったなー。ああ見えて寂しがり屋やから、友達になったって」
「仲良くなれたら良いな」
話をしているうちに、お茶も飲み終えた。
長居しちゃいけない気がして、すぐに部屋に戻る。
「おやすみなさい」
紫「ん。おやすみ」
相変わらず同じ場所に立ったままの崇裕くんは、笑って言った。
暗くてよく見えなかったけれど、その笑顔はどこか堅いような気がした。
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作者名：ずみ | 作成日時：2018年2月6日 19時
