さよなら ページ41
-おそ松
勢いをつけてあいつに殴りかかったけれど、俺の拳はいとも簡単に大きな右手に止められた。
「おーおー…喧嘩っ早いところは昔から変わんねェなァ」
「おじさんも、ロリコン好きなのは昔から変わんないね」
「…お前、大人を舐めんじゃねぇよ」
ギリギリと歯ぎしりが聞こえるほど互いの力がぶつかり合う。
あの時から随分年月は経ってるのに、こいつの力が衰えてないことに若干焦りを感じた。
「なぁおそ松、お前あの子のこと好きなのか？」
「…だったらどうする」
「へへっ…やっぱりそうかよ、あいつはいい女だもんなァ。さすが、俺と似てお前は目利きがいい」
「お前と誰が似てるっつーんだよ！！一緒にするんじゃねぇ！！」
「お前も分かるだろ？綺麗な髪、愛らしい唇、柔らかい体…何より幸子とそっくりだ、あいつは…あいつは、俺のもんだ…！！」
「あいつは一美だ！！勝手にお前の好みの女にするんじゃねぇ！！」
「…あの頃と同じで物分かりが悪いね、お前は」
一瞬の間をおいてあいつがポケットに手を突っ込むと、俺の目の前でナイフをかざして思わず後ろにたじろいだ。
「…おじさん、あんたまた捕まりたいの？」
「うるせぇな。俺は幸子さえ手に入ればいいんだよ！お前を刺してもなァ！」
「…っ」
ぐっとあいつがナイフを近づけると、俺の胸に刃先が触れる距離まで近づく。
それを見て一美が「おそ松さん！！」と駆け寄る気配を感じ、「来るな！！」と叫んで俺はゆっくりあいつに目を合わせた。
「あー…懐かしいねェその目。でももうお別れだ。…じゃあね、おそ松くん」
「……あー、そうだな。うん、お別れだな」
「！っおそ松さん…！？」
狂ったような目で俺を刺そうと振り下ろしたあいつのナイフを避けて
俺はありったけの力を込めてバランスを崩したあいつの頬を殴った。
その拍子にナイフが落ちてそいつを遠くに蹴飛ばし、不意打ちの攻撃で倒れたあいつの胸ぐらを掴んで俺は続けて4発殴った。
「さっきのは一美の分！これはあの子らの分！！」
「これは俺の弟を怖がらせた分！！」
「これは昔の俺を怖がらせた分！！」
「そして、これはあの子らの母親の分！！！」
集中攻撃を受けたあいつの口からは、もうかすれた息しか出てこない。
すっかり大人しくなったあいつの胸ぐらから手を放し、「ねぇ、おじさん」とこっちを向かせた。
「『おそ松くん』は、とっくにもういねぇんだよ」
.
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唯月 - 永久保存でお願いします(*^_^*) (2019年4月27日 19時) (
レス) id: 0fc20caa15 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - その後のお話が読みたい! (2017年8月21日 18時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - かや梅さん» ありがとうございます！何回も最初から読んでくれたなんて本当嬉しいです…！ありがとうございます！番外編は考えていませんが、新作を準備していますので、もうしばらくお待ちください◎長い間読んでいただき、本当にありがとうございます！ (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ミサキ@さん» ありがとうございます！そう言ってもらえて凄く嬉しいです！！続きは考えていないのですが、新しい作品を準備中なので、そちらを楽しみに待っいてください(^^)再度読んで頂けるなんて…本当にありがとうございます！ (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 椿姫さん» コメントありがとうございます！無事に完結できました。その言葉が本当に嬉しいです。書いた甲斐がありました。長編でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます！ (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：M | 作成日時：2017年1月7日 14時
