分からない ページ4
-十四松
彼女が何を言ったのかすぐに理解できなくて
何か言おうと口を開けても乾いた音しか出てこない
確かに嬉しい言葉だった。けど、五美ちゃんは黙ったまま立ち尽くしていて、涙をぐっと堪えている。
「……十四松さんは…私が自分自身の事が嫌になって辛いとき、いつも励ましてくれて…その優しさが、凄く嬉しかったです」
長いような短いような沈黙の後、小さな声で五美ちゃんが話し出す。
「いつも私の事を優しく包んでくれて、たくさん励ましてくれて、いつでも私の事優先で…」
「……誰にも渡したくないほど、十四松さんが好きになってたんです」
彼女からの『好き』の言葉に、心臓がドクンと動く。
僕、夢でも見てるのかな…
胸が熱くなるほど嬉しいけど、彼女はまだ泣きそうで、喜んでいいのか何なのか頭がついていけない。
だけど、僕も好きだと言いたくて口を開こうとすれば
「…でも私、諦めます」と彼女の口が先に動いた。
「あきらめる…？」
「十四松さんは…私が気持ちを返してくれないから、私の事を諦めたんですよね」
「待って、僕そんな…」
「私、十四松さんに酷いことしました。気持ちをあれだけ貰っておきながら、受け取りもしなかった」
「だから他の子に…好きって…言ったんですよね…？」
ちらりと彼女が涙目で僕を見上げた。
もう涙が溢れそうになっている目元を拭ってあげようと手を伸ばせば、力なく払われてしまい、消え入りそうな声で彼女が呟いた。
「もう…優しくしないでください」
「…え」
「私の事を好きじゃなくなった、嫌いになったのなら、ハッキリ言ってください！態度で表してください！」
ついに大粒の涙をぼろぼろと流した彼女の口から出た言葉に、僕はびっくりして何も言えなかった。
「私は十四松さんの事が大好きだって分かった時にはもう遅くて…十四松さんには、もう他に好きな子がいるから、諦めようとしてるのに…
…さっきのは何なんですか…なんでおめでとうの言葉が震えてるんですか」
「…」
「私があつしさんと付き合ったら、嫌じゃないんですか？…それとも、嫌なんですか？」
「……嫌だって言って欲しいんです。…ワガママですけど」
辛そうな顔で彼女は続ける。
「十四松さんのその態度じゃ、何を考えてるのか、私の事どう思ってるのか分からなくて…私、頭の中ぐちゃぐちゃで…！」
「五美ちゃん」
泣きじゃくる彼女に、僕はそっと名前を呼んだ。
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唯月 - 永久保存でお願いします(*^_^*) (2019年4月27日 19時) (
レス) id: 0fc20caa15 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - その後のお話が読みたい! (2017年8月21日 18時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - かや梅さん» ありがとうございます！何回も最初から読んでくれたなんて本当嬉しいです…！ありがとうございます！番外編は考えていませんが、新作を準備していますので、もうしばらくお待ちください◎長い間読んでいただき、本当にありがとうございます！ (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ミサキ@さん» ありがとうございます！そう言ってもらえて凄く嬉しいです！！続きは考えていないのですが、新しい作品を準備中なので、そちらを楽しみに待っいてください(^^)再度読んで頂けるなんて…本当にありがとうございます！ (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 椿姫さん» コメントありがとうございます！無事に完結できました。その言葉が本当に嬉しいです。書いた甲斐がありました。長編でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます！ (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：M | 作成日時：2017年1月7日 14時
