大事なはなし ページ30
-二美
一美姉ちゃんに持っていくお茶を用意していたら、「あ、二美姉ちゃん見っけ」と六美がとなりにくっついてきた。
六美は特に何をするわけでもなく私の動きを側で見ていると、急に「あのさ」と頬杖をついて私を見上げた。
「どしたの六美?」
「二美姉ちゃんさ」
「うん?」
「また地味に戻ってない?」
「…は?」
急に言われたその言葉に「それ、どういう意味」とムッとして言えば「だってさぁ」と六美が器用にスマホの画面をスクロールして「ん」と私に突きつける。
眼鏡をかけてないせいでぼんやりとしか見えないけれど、とこか見覚えがある人物に「誰?」と聞けば「はぁ…」と大きく溜め息をつかれた。
「この時の二美姉ちゃん超かわいかったのに」
「もしかしてあの時の?!ちょっ何で勝手に写メなんか」
「そんなことより、さっきの質問答えてよ」
「…普通本人に聞くことじゃないでしょ、それ」
「あの時は同窓会があったからお洒落しただけ、たまたま!」と言い切ってお茶と急須をお盆に乗せて台所を出れば、「ふーん」とか言いながら六美もついてくる。
「二美姉ちゃんて、しっかりしてるし頭もいいから隙なんてないと思ってたけどさぁ、そんなことないんだね」
「…何が言いたいの」
「だってさぁ…」
急に六美が一歩前に出て私の顔を覗きこむと、いたずらっ子のような笑みを見せる。
「同窓会なんていうけどさ、それって私達にも連絡くるはずだよね?」
「同じ学校で、同い年なのに」と追い討ちをかける六美に私は固まって何も言い返せない。
口をつぐむ私を見て、六美は困ったように小さく微笑むと私の手をとった。
「ねぇ、二美姉ちゃん」
「…」
「もっと、自分のこと大事にしなよ」
「でも、私が側にいてやらなきゃ、一美姉ちゃんは」
「本当にそうかな?」
六美は私からお盆を取るともう片方の手で私を2階へとひっぱっていく。
襖を静かに開ければ、一美姉ちゃんの周りに他のみんなも集まっていた。
「一美姉ちゃん、連れてきたよ」
「ありがとう六美。……二美、ここ座って?大事な話があるの」
「…え」
一美姉ちゃんは笑顔で自分のとなりをぽんぽんと叩く。
私は言われるがまま一美姉ちゃんの側に腰かけた。
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唯月 - 永久保存でお願いします(*^_^*) (2019年4月27日 19時) (レス) id: 0fc20caa15 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - その後のお話が読みたい! (2017年8月21日 18時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - かや梅さん» ありがとうございます!何回も最初から読んでくれたなんて本当嬉しいです…!ありがとうございます!番外編は考えていませんが、新作を準備していますので、もうしばらくお待ちください◎長い間読んでいただき、本当にありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ミサキ@さん» ありがとうございます!そう言ってもらえて凄く嬉しいです!!続きは考えていないのですが、新しい作品を準備中なので、そちらを楽しみに待っいてください(^^)再度読んで頂けるなんて…本当にありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 椿姫さん» コメントありがとうございます!無事に完結できました。その言葉が本当に嬉しいです。書いた甲斐がありました。長編でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M | 作成日時:2017年1月7日 14時