ほんとはね ページ17
-六美
トド松さんの肩に頭を乗せたまま、「本当のこと言うとね?」と前置きして
ゆっくり 息を吸った。
「……トド松さんのこと、ずっと好きだったんだ」
さぁっと冷たい風が流れて私の髪を揺らす。
やっと言えた私の想いも連れ去って行ってしまうような、そんな風だった。
「優しくて、頼もしくて、」
「六美のこと守ってくれて」
「男らしいトド松さんのこと、ずっと…ずっと……」
ゆっくりゆっくり、一呼吸おくようにトド松さんへの気持ちを伝えていくうちに、悔しさと哀しさで喉がつまる。
「……何で、もっと早く自分に素直にならなかったんだろ」
「…」
「トド松さんに他に好きな子がいるってわかっても、この気持ち伝えるべきだったのに」
「……そしたら、こんなに苦しまなくてすんだのかな」
ため息にも似た息をはぁっと吐くと、白色がゆらりと夜空に溶けていった。
その行方を見つめながら、苦笑いで「ほんと遅すぎ」と呟いてトド松さんの方へ振り返れば、トド松さんは静かにじっと私を見つめていた。
(今は、私だけを見てくれている)
手を繋ぎたくて
くっついてみたくて
好きな人の目線まで欲しがって
時間も奪って
___ポケットからスマホを取り出せば、タイムリミットまであと少し。
無理やり手に入れた『彼女』の位置は、あっという間に終わりを迎える。
「……私の決意は遅すぎたけど」
「…」
「この時間は幸せだった」
無理やり笑顔で笑って見せる。
ちゃんと笑えてるかなんて考えたけど、もうどうでもいいや。
「ありがとう。トド松さん」
そう呟けば、時計の表示がちょうど変わった。
「そろそろ行こっか。みんな待ってるし、寒くなってきたし」
「…」
「あ、さっきのことはもう忘れて?六美の気持ちとか、気にしなくていいよ」
無理やりわがまま聞いてもらったんだから、これ以上気を使ってなんかほしくない。
「これからも、今まで通り仲良くしてね?」
今度は意識して自然な笑顔で笑えた私は、彼から少し離れて距離をとり、彼のパーカーのポケットで繋いだ手をほどいて立ち上がろうとすれば
「どこいくの」
離れていく私の手をトド松さんはぐっと強めにつかんで、立ち上がろうとした私の動きを止めた。
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唯月 - 永久保存でお願いします(*^_^*) (2019年4月27日 19時) (レス) id: 0fc20caa15 (このIDを非表示/違反報告)
サクラ - その後のお話が読みたい! (2017年8月21日 18時) (レス) id: 82bd22f655 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - かや梅さん» ありがとうございます!何回も最初から読んでくれたなんて本当嬉しいです…!ありがとうございます!番外編は考えていませんが、新作を準備していますので、もうしばらくお待ちください◎長い間読んでいただき、本当にありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - ミサキ@さん» ありがとうございます!そう言ってもらえて凄く嬉しいです!!続きは考えていないのですが、新しい作品を準備中なので、そちらを楽しみに待っいてください(^^)再度読んで頂けるなんて…本当にありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 椿姫さん» コメントありがとうございます!無事に完結できました。その言葉が本当に嬉しいです。書いた甲斐がありました。長編でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございます! (2017年6月5日 14時) (レス) id: 23f0e390a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:M | 作成日時:2017年1月7日 14時