【SERVAMP】短編集♪

守るために壊した【ベルキア・切甘】 ページ11

「海は苦手なんだ」




彼女は僕に微笑んで陽の沈みかけている海を見た。



細く白い足をそっと砂浜につけ、

目前のどこまでも青い海を見つめる。





「…綺麗で、命を作り、壊すもの…

母なる海 なんて言葉があるけれど

生み出したものを自ら壊すなんて馬鹿げてる

そんな母親あってたまるものですか」





彼女が海を見て話している間も

海は波打つ音だけを奏でている。



日は沈み、星が目叩く(まばたく)夕暮れの中、

何一つ派手なもののないこの空間で、

空を写した海のような青い瞳の彼女だけがこの世で1番美しいものだと

僕には、そう思えてならなかった。




そして、…彼女は病気で亡くなってしまった。

僕はひどく後悔した。


何故、想いを伝えなかったのかと…




だけど、僕にはその幸せが手一杯だったんだ。



もしかしたら彼女を心配させない為に

必死に自分の本心を隠して、

本当になるはずだった幸せをも

隠し続けてしまっていたのかもしれない。



小さな幸せを守るために、

その幸せが大きくなるための物を壊していたんだ。


また会えるのならば、あって君に謝りたい。





そして…もし、許されるのならば……＿__。




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