第三話【クズの母親】 ページ4
私は前髪をかきあげて、デスクの上にある鬱陶しい書類達を雪崩のように勢いよく落とす。ただの八つ当たりだ。そんなのわかってる。この編成で行かせたのも、政府への挑発のつもりだった。やる気なんてない、解決する気はない、政府になんて従わないという意思表示のつもりだった
『__もしくは自滅行為では』
長谷部の声が脳内に反響する。__そうだ、その通りだと認めている。だからこそ、そう気付かされたからこそ…自分がいましている事に腹が立って仕方が無い
「……本物のクズじゃん」
政府よりも、クズの行為だった。自分勝手に刀剣男士達を従わせて、Lvも不十分で任務に行かせてしまったんだ。みんな『主のためなら』と言って従ってくれた。でもそれが表面上なら、本当は……
本当は凄く、怖くて、不安だとしたら………。私は、なんてことをしてしまったんだろう
「あぁ、クズだ。全くもってクズだ」
ふと、突き刺すような冷たい声が聞こえた。スパンッと司令室の襖が勢い良く開く
「この言い方は全く風流ではないがね」
私の初期刀である歌仙兼定がそこに立っていた。歌仙は予想通りと言ったように、当たり前のように司令室に入ってして、当たり前のように床にちらばった書類達をまとめ始める。私はハッとしてそれを手伝う
「遭った時から言っているが、物に当たるのはやめなさい」
「………はい」
母に叱られている気分になるのは私だけではないと信じたい
歌仙はまとめた書類をまたデスクに置くと、画面へと目を移した
「……へし切長谷部、太郎太刀、次郎太刀、石切丸、蛍丸、岩融……。おや、僕は室内戦だと聞いていたけれど」
ギクリ、と体が少し無意識のうちに動いていた
今すぐ逃げ出したい。しかもこれをわかった上で歌仙は言うのだ。怖い。やだこの文系ゴリラ
「なんと言ったかな。もう一度言ってごらん?」
なんでもないです
歌仙は画面から目を離さずにしているものだから、今なら逃げれるんじゃないかと思ったけど、足が動かなかった。怖くてではなくて、葛藤がそうさせた。ここで逃げてなんになるのか、むしろいっそここで叱ってくれた方が楽………。
なんて考えているうちに、歌仙がデスクに置いてある通信機を装着した
「か、歌仙…?」
「きみはどうせ撤退命令を出す勇気もないだろう?雅じゃないが、クズなのだから」
「ぐっ、」
いちいち心臓に刺さってくる
こやつ、私の事わかりすぎじゃないか
「何年一緒だと思ってるんだい」
……ごめんなさい
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作者名:絶望少女 | 作成日時:2018年11月17日 22時