普通の私が“魔法少女”になる話 (ページ28)

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「姉弟が居るなら探してみよう

名前も､顔も､分からないけど､姉弟が居るのに傍に居ないのは寂しいじゃないか」

「でも僕らは外の世界に行けない

此処での任務を放棄する事は魔法少女の掟に反してしまう」

ルスに魔法少女になる際に言われた掟(ルール)を私は思い出す

一､魔法少女は決められた場所以外での魔者狩りはやってはならない

二､任務を放棄する事は違反である

三､魔法少女同士での争いは原則禁止である

上記の掟に反する者は魔法少女として活動する事を禁ずる

ルスが前､家に遊びに来たときに本を開いて読んでいたものだ｡レナトゥスの種族は代々この本を受け継ぎ､掟を破ってはならないという言葉を魔法少女に教えている

ルスやスペースもまた､その本の継承者で掟を守り､掟を魔法少女に伝え支える役目を果たしているのだ｡

「お前の姉弟に関してはこの街でも探せるよ､最近は都会化が進んでいるんだ

昔の風景もあれば､今のビル群が立ち並ぶ風景もある｡人が爆発的に集中しているんだよ

だからきっとこの人が多くなりつつあるこの街でなら､ルスと同じ種族の存在と出会える」

「でも､僕は…」

つべこべ言わずに探そう､やって見なきゃ真実はずっと埋まったまま｡私が魔法少女になることを躊躇(ちゅうちょ)していた時､ルスはそっと背中を押してくれただろう

そうルスに想いを伝える

「…僕は見つけたい

ううん､見つけなきゃいけない気がするんだ｡僕の心が命じているような…そんな感じがする」

私は椅子から立ち上がり､ルスに手を差し伸べる｡ルスは私が急に立ち上がったことに驚いて､目を丸くして見つめてくるが､自分の方に向けられた手に気づいたのか､立ち上がって握手する

「きっとこれから辛いことだらけだよ
姉弟を探すのはかなりの時間がかかる

それに､胸騒ぎがするんだ
この先､Aに何かが起きるかもしれない

それが当たるかは分からないし､僕は予知能力は持ってない｡確証はないけど､用心しよう」

「交渉成立､だな

魔法少女になる時には交渉は成立していたが改めて､私はルスの為に姉弟を探す

ルスは…」

「僕はAを支援する

魔法少女としても一人の人間としても
もちろん､始音達も一緒だよ！

みんなで､強くなろうね」