普通の私が“魔法少女”になる話 (ページ23)

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「ふぉいひぃいへ(美味しいね)､へふふりふぉはん(手作りご飯)！」

「始音､ハムスターみたいに口の中にたくさん詰め込むと喉を詰まらせるわよ」

「はひはにふぉいひぃいね(確かに美味しいね)…A､お代わり！」

「そう焦るな､ご飯は逃げないよ」

どうしてこうなってしまったのか､それはつい数時間前までに遡(さかのぼ)る｡Aは連絡先を早速使い､始音達と魔者退治をしようと考えた｡近くの公園で集まった四人は黄昏町全域の魔者退治を行った｡その後､ご飯を一緒に摂ることとなり､Aの家に来たわけである

今日は無難に生姜焼き定食を作り､三人に振る舞う｡美味しい､美味しいと幸せそうに食べる始音とルスを見て､Aは自然と笑みがでた

「まさか貴方がこんなに美味しい料理を作れるとは思わなかったわ｡始音も見習って欲しいくらいよ」

始音(あの子)はまともに料理を作った事がないから｡とため息をつきつつ､スペースは言った｡どのくらいとAが問う

「以前､貴方の様に生姜焼きを作ろうとした時､醤油を入れすぎて辛くなっちゃったのよ

塩分のきつい物体と化してしまったわ」

「まぁ､私も昔はそうだったから
慣れれば始音も君も出来るよ」

人は失敗して学び､成長していく
決して全員が完璧に出来る訳では無いのだ

「ねえねえ､私､Aちゃんの家にお泊まりしてみたいの！其れってできるかな？」

「…ふむ､私しか住んでいないから空き部屋は幾らでもあるんだが…如何(いかん)せん､私は人を家に泊まらせた事がないんだ

だからどうもてなせば良いんだろう」

もてなしなんて要らないよー､ただお風呂一緒に入ったり､ご飯食べたり､色々して遊ぶの！と始音は笑って言う

「私と始音にご飯の作り方を学ばせる名目で泊まりを行えば､いいもてなしになるでしょう

始音(この子)も張り切っているみたいだし｡私も少しワクワクしているわ」

なら僕も仲間に入れてよ！と手を挙げて主張するルス､ルスの口周りには米粒が数個付着している｡Aはすかさず､ティッシュで米粒を取る

なんだか貴方たち､まるで姉弟のようね｡とくすりと笑ってこちらを見つめるスペースに始音は確かに！と言いたげに首を上下に振った

「姉弟､か」

ルスの方を見つめ､Aはそっとルスの髪をゆっくりと撫でた