どうしよう犬が可愛い【痣路不】 ページ5
抱っこしていいか、と聞くと白犬は尻尾を千切れんばかりに大きく振って俺の腕の中に入って来た。
思った通り、ふわふわで温かくて…久方ぶりの白犬の抱き心地はまさに最高という言葉が相応しい。
「白犬…お前いつの間にこんな最高の撫で心地になったのだ…」
ダメだ、�が緩んでしまう。世間一般でいうニヤケ顔になってしまう。いや、もうなっている。
やはり動物というのは良い。人間よりも遥かに良い。だが懐かれない。懐くのはいつも妖か人間だ。…俺の何がいけないのだろうか。理解が出来ん。
ふと、校門の方向から奇声が聞こえた。「きゃー!」といった歓声だったり「幼女おおおおお!!」といった理解不能な言葉だったり「ユーリアカッコよすぎかよ」みたいな叫び声だったり……
いや待て、今ユーリアという単語があった気がするのだが。
これは行くべきなのか。いやしかし、白犬のこのふわふわもこもこの触り心地から離れるのは名残り惜しすぎる。だがユーリアが絡んでいるからやはり行かなければならないのか。いやでも犬から離れるのはもっと嫌な気もする。…俺は一体どうすれば良いのだ。
「…行かなければならんのか」
白犬を撫でくりまわしながらそう呟く。
だが、行く前に一つだけ確認させてもらおう。校門で騒ぎを起こすその人物を。
目を閉じ、意識を校門の近くにいるユーリアに集中させる。あいつと俺は、誰にもわからず誰にも見えないある繋がりで結ばれている。意識を繋がっている相手に集中させれば、その相手が見ている風景を脳内で再生することができるのだ。
早速見えて来たな。どれ……なんと、幼子か。
いや待て、違う。こいつは…ただの幼子ではない。神の力を持つ者ではないか。常人には見えぬその覇気。かなりの玄人。そして、その雰囲気から察するに精神年齢は見た目の倍以上だ。
なるほど、理解した。この者は幼い時に神に愛され、認められた。俺とは無縁の天界やこの世、そして地獄で通じる「七歳までは神のうち」のことわざ通り、この幼子は恐らくその辺りで見た目の成長が止まったのだろうな。
ふむ、噂には聞いていたがこうやって実際…いや、フィルター越しに見るのは初めてだな。
しかし、神…か。
俺とは分かり合えないかもしれんな。神は、地獄の住人を嫌う。特に俺のような鬼や閻魔様はな。この犬とならばちゃんと話は出来るかもしれんが…。
どちらにせよ、俺は行かなければならん。憂鬱とはこのことか。
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SnowWhite(プロフ) - パート4作りました! (2018年7月5日 18時) (レス) id: 938cc38ee8 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑鍋 - 感想書いてきました! (2018年7月5日 17時) (レス) id: d91aa289c8 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑鍋 - 感想書きます (2018年7月5日 17時) (レス) id: d91aa289c8 (このIDを非表示/違反報告)
浮遊中のキノコ猫 - あ、直りました。さっきなんと言ったのかというと「なんかバグりました。更新終わりました。」です。 (2018年7月5日 14時) (レス) id: ab1536bd99 (このIDを非表示/違反報告)
浮遊tyuunokinokoneko - nannkabagurimasita。kousinnowarimasita。 (2018年7月5日 10時) (レス) id: ab1536bd99 (このIDを非表示/違反報告)
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